10年間娘が家に連絡しなかった理由は、「夫に禁止されていた」から

娘は10年間、数えるくらいしか連絡をしてこなかったという。

もしかすると里美さんは、母娘の関係を依存的にする“毒親”ではないかと考えた。依存的な親子関係は、どちらも気づかなければそのままだが、気がついたほうは逃げるように関係を断つことが多い。

しかし里美さんはさっぱりした人柄で、子供に多くを期待していないようにも見える。おそらく母娘の関係を共依存状態にするタイプではない。なぜ娘は10年間も母親にほとんど連絡をしなかったのだろうか。

「向こうの家が古風で、“結婚してウチの人間になったのだから、実家になど連絡しなくてもいい”って言われたんですって。今、身ぐるみはがされたような状態で戻されてきてね。相手の言う通りに離婚届けに判を押してしまったから、財産分与も何もかもないのよ。孫の親権も向こうがもって、孫も“ママはバカだから一緒にいたくない。パパがいい”って言ってるんだって」

離婚して帰ってきた娘に里美さんは「なんで黙っていたのよ。相談のひとつもできたでしょ?」と言った。すると、「お母さんに相談したら、“だから言ったじゃない”って言うでしょ?」と言われた。

「あれはショックでした。私も自分の母親にそういうことを言われるのが嫌だったのに、娘には言っていたんです。“便りがないのはよい便り”だと思って10年間もほっておいたんです」

【真面目な娘の浮気相手は、20歳年下の大学生だった……~その2~に続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。

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