進学と就職のどちらがいいのかも自分で決められなかった

年齢を重ねるにつれて、ますますいい子になっていったという真琴さん。高校時代にいじめを経験しますが、そのときもずっと学校に通い続け、家にはその事実を一切知らせなかったと言います。

「中学から一緒の高校に進学した友人とケンカをしてしまって、その子が他の友人たちを味方につけて集団で無視をされるようになったんです。無視の他には、私が触ったものを汚いと言われたり、お弁当の時間に私の机がみんなのカバン置きにされて席でご飯を食べられなくされたり。一度、机の中に入れていた筆箱や教科書を取られたことがあったので、そこからは休憩時間もすべてをカバンの中に入れて持ち歩いていましたね。お弁当は机が使えなかったので、教室とは別の階のトイレなどで食べていました。

そんな中でもちゃんと毎日学校に行きました。保健室にも一度も行っていません。だって目立つことをしたら先生にバレて、それが親に伝わってしまう。いじめられる子にも問題がある、いい子じゃないと親から思われることが、いじめよりも怖かったんです」

2年生でのクラス替えでいじめは終息して、2年間の高校生活は平和だったとのこと。卒業後は都内の有名大学に進学しますが、高校時代は大学に進学するべきなのかどうかもわからなかったんだとか。

「大学に進学することと、就職することと、どっちがいい子なのかがわからなくて。いい大学に行くと自慢できる子になれるかもしれませんが、経済的には迷惑をかけてしまう。経済的に自立して親の負担を減らしたほうが良いのかと考えれば、自立することで親から早く離れたいと思っていると捉えられるんじゃないかと。

母親から『どの大学を目指しているの?』と聞かれて、初めて大学に行ったほうがいいんだって思い、進学を決めました」

自分のやりたいことが見つからなかった。しかし家以外の環境に触れたことで、母親と自分は違うと気づけるようになり……。

~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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