取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺ったのは、都内で一人暮らしをしている真琴さん(仮名・36歳)。神奈川県出身で、両親との3人家族。自分に一切興味がない父親と、「いなくなりたい」と度々子どもの前で口にする母親の下で育ちます。真琴さんの中での親は母親だけであり、見捨てられたくない思いから、いい子でいることだけを頑張ってきたと言います。
「私の中心は母親で、何かを決めるときにはどちらを選べば母親が喜んでくれるか、そればかりを考えていました。進路を決めるときには大学進学か就職かを自分で選ぶことができませんでしたね。その頃は、喜んでくれるのかというよりも、どちらが迷惑をかけないのかという考え方に変わっていたような気がします」
人間関係がうまくいかずに転職を繰り返す
母親が希望した大学を卒業後、都内にある外資系の化粧品メーカーに就職。しかしそこでは上司からのパワハラに遭い、短期間で辞めてしまったそう。今でもその上司のことを大嫌いだと語ります。
「私のことをみんなの前で注意したり、口頭で頼まれた仕事をしただけなのに違うと怒られたり。仕事内容ではなく私の人格まで否定するような怒り方をしてきたので、そこからケンカに発展してしまって。人事に何度も上司のことをパワハラだと訴えても対応してくれなかったから、もういいやって。
母親は仕事を辞めたことを心配してくれましたけど、体調が良くないことを伝えると認めてくれました」
次に紹介予定派遣で一般事務の仕事を始めたと言いますが、これも派遣期間内で退職してしまったとか。
「半年の派遣期間を経て直接雇用の予定だったんですが、3か月で辞めてしまいました。そこはこんな仕事ならできるだろうと見下したように命令してくる社員がいて、揉めることはなかったんですが会社に行かなければいけないと思うとお腹を下したり、胃痛でご飯が食べられなくなったので。こんな会社の社員になっても何の意味もないと思い、早めに見切りをつけた感じです」
【自分を客観的に見れたことで家族の違和感に気づいた。次ページに続きます】