自分の中にない父親像。子育てでの戸惑いを払拭してくれたのは義父だった
結婚生活は30歳まで2人の生活を楽しみ、その後に子作りを考えようと2人で計画していたとのこと。そして、31歳の時に男の子が誕生しますが、子供が成長するにつれてある違和感を持つようになります。
「20代での結婚だったこともあり、とりあえず子供は30歳になってから考えようと奧さんと話し合って決めました。奥さんも結婚後はそのまま同じ会社で働き続けていたし。
子供が生まれた直後は、僕は家事が完璧だったので、ほとんどの家事はもちろん、おむつ替えやお風呂なども率先して行っていました。とにかく初めての我が子はかわいくてかわいくて。でも、大きくなっていくにつれて、父親としてどのように甘えさせるべきか、怒るべきかわからなかったんです。ドラマなどで見たことのある父親像が一般的なのかどうかもわからず。一番困ったのは、奥さんが子供を叱った後にどのように父親として接すればいいのか。正解があるものじゃないから、息子の態度に戸惑ってばかりでした」
その不安や戸惑いを解消してくれたのは、奥さんの父親、義父だったそう。
「義父からしたら、娘との思い出を自慢しているだけなのかもしれませんが、こんな時はこうしたとよく教えてくれました。義父は普段は寡黙なんですが、酔っぱらうとまぁよくしゃべる。当時の子供との接し方が知りたい僕はそこからよく義父と2人で飲みに行くようになりました。大人になった時に父親と飲みに行くとこんな感じなんだなって、絶対に誰にも知られたくないですが想像して少し恥ずかしくなったりもしていました」
そして、今は母親が健太郎さんにしてくれたように、ドライブ旅行に家族でよく出かけると言います。
「あの時の母親は父親役をしていた気がするんです。僕にもとてもいい記憶で残っているから、自分の子供にも同じ思い出を残してあげたいなって思っています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。