情で縛り付けられて、身動きが取れない
可愛い姪とはいえ、その子供ぐるみで受け入れるのは、並大抵のことではない。それに姪も姪だ。3年間も家賃を払わずに叔母のアパートに住み続けるとは、なかなかのものだ。
「10代で出産する女性と聞くと、さまざまなイメージが浮かぶと思います。例えば、両親が離婚してさみしいとか、計画性に乏しいとか、その場の感情で突っ走ってしまうとか、お金がないとか、夜の仕事をしているとか……姪はそのすべてに当てはまります。よく我が子への虐待で報道される母の姿と、姪はピタリと重なる。もちろん、大学に通いながらや、仕事をしながら子育てしている10代の母もいることは知っています。でも姪はそうではない。万事において、刹那的なので危なっかしくて見てられないんです。相手の気持ちがわからないから、家賃を払わなくても平気なんでしょうね」
姪は娘を一時期、児童養護施設に入れていた。
「やっぱり育てられないんですよ。遊びたい盛りだし、お金だってないから仕事をしなくてはいけない。仕事といっても、姪はまともに高校をすら出ていないので就労範囲が限られている。それ以上に、仕事に対して将来の向上につながっていくという意識を持っていないのが大問題。働くことは苦痛であり、時間をやり過ごせば給料をもらえるという意識なんですよ。だから長続きしないし、雇用主側から雇い止めを言い渡されることもあるみたいです」
姪は、男性からモテる。ギャルっぽい見た目を想像していたが、写真を見せていただくと、清楚な黒髪の女性だった。技巧的なメイクと、一児の母とは思えないほどの抜群のプロポーションが印象的だった。
「隣に住んでいるからわかるんですが、姪はたぶん、いわゆる“パパ活”みたいなことをしていると思いますよ」
【「困ったときはお互い様」は相手を甘やかしてダメにする考え方ではないか……。~その2~に続きます】
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。