文/ 西崎努

本連載ではこれまで2回にわたり、「シニア投資」の考え方(https://serai.jp/living/1023726)と、注意すべき資産運用の落とし穴(https://serai.jp/living/1023736)について解説してきました。
「シニア投資」とは、資産を増やしていく20〜40代の投資に対して、主に50代以上の方が行う“築いてきた資産を減らさずに運用する”方法です。

今回は、そんな「シニア投資」に適した金融商品とは何か、解説します。

「シニア投資」に最適な商品は債券

本やセミナーをきっかけに私のもとにご相談に来られるお客様は、

「長く付き合っている金融機関で運用しているが、いまいち結果に満足できない」
「とにかく資産を減らしたくない」

という方がほとんどです。
みなさん貯蓄と年金を使いながら生活しているわけですが、いつ大きな出費が発生するかわからないので、資産が減っていくことには不安を覚えます。
ですから現有資産を維持しながら、もしくは少しずつ増やしながら、使っていくことを望まれます。逆にリスクをとって儲けたいという方はいません。

そんな方々にとっての「いい商品」は、ズバリ、債券です。
債券というと、たいていの人が「聞いたことはあるけど、詳しくは知らない」のではないでしょうか。2019年1月に公表された日本証券業協会の調査結果でも、現在「公社債」を保有している個人投資家は、全体の13.2%にすぎません。
しかし、知られていないだけで債券は非常に魅力的な商品です。大きく儲けたい人には適していませんが、減らさず運用したい人にはとてもよくマッチしています。

知る人ぞ知る債券投資4つのメリット

(1)抜群の安定性
債券は基本的に「買った値段プラスα」で戻ってくる商品です。
債券は「満期が決まっていて」「満期を迎えると買ったときの額面で払い戻される」という仕組みになっています。
例えば500万円で「5年後に満期になる」債券を買ったとします。途中で売ったりせずに、満期まできちんと保有していれば、まず500万円は戻ってきます。
そこに金利分が加わるので、その分だけ増やすことができるというのが債券投資のメリットです。

(2)預貯金を上回る金利
債券の金利は、購入する時点で何%(年率)か決まっています。それが年に1回とか、半年に1回など、定期的に支払われる仕組みです。
例えば先ほどの「5年後に満期になる」債券を500万円分買った場合、この債券が「年に1回、3%の金利を支払う」条件の銘柄だったとすると、15万円が毎年1回、支払われるわけです。
満期まで5年間あるとすれば、単純に合計75万円が支払われることになります。
つまり500万円で買った債券が、満期には575万円に増えて戻ってくる。しかもそれが購入時点でわかっている。この安心感は株や投資信託にはありません。

(3)ほったらかしでOK
ほとんどの債券は、満期までの期間とその間の金利が決まっているので、買ってしまえばあとは何もする必要がありません。株のように市場の動きを毎日気にかける必要もありません。
また、投資信託などは、保有期間中はずっと信託報酬がかかりますが、債券は金融機関に支払うコストはゼロです(売買時の単価に調達手数料は含まれています)。

(4)お金を使う計画が立てやすい
債券は満期が来れば自動的に現金に戻ります。なので「5年後に自宅をリフォームする」などと決めておけば、計画的にお金を使うこともできます。
株や投資信託も、売ろうと思えばいつでも売れます。しかし、値下がりしていたら? まだ値上がりする可能性があったら? 本当に売れるでしょうか。
損益の面でも、心理的な面でも、市場に大きく左右される株式などのリスクの高い商品は「計画的に現金化する」ことがとても難しいのです。

債券なら何でもいいわけではない

ここまで債券のメリットを紹介してきましたが、なぜそんなにいいことばかりなのか、訝しむ方もいるかもしれません。
債券が他の金融商品と比べて抜群の安定性を持っているのは、要するに国や企業への貸付だからです。
債券とは、国や企業などが、広く不特定多数の投資家から資金を借り入れる際に発行する証書のことです。債券が発行されると、金融機関を通じて売りに出されます。
債券を買うということは、つまりお金を貸し出すことです。ですから、満期がくれば満額返してもらえますし、貸している間は金利がつくというわけです。
債券は個人の投資家にはあまり馴染みがなく、特殊な商品と感じるかもしれません。
しかし現在、世界の債券市場は時価約100兆ドルといわれ、株式市場の約70兆円を上回ります。実は特殊でもなんでもなく、ごく普通の金融商品の一つです。

とはいえ、債券ならば何でも買っていいのかというと、そうではありません。当然リスクの大きい債券も中にはあります。

債券を選ぶ際の基準は主に5つ。詳細は本の中で解説していますが、ここでは簡単に紹介します。

(1)発行体:債券を発行している国や企業が信用できるかどうか
知人にお金を貸すのと同じで、相手に返済能力がなかったり、破産してしまったりするとお金は戻ってきません。

(2)金利:元本に対してどの程度の金利が付くか
信用度の高い債券ほど金利は低くなる傾向があります。

(3)償還日:満期までの期間
現金が必要になるタイミングと債券の満期は合わせるようにしましょう。

(4)通貨:どの通貨で取引するか
債券には外貨建てのものもあります。為替変動リスクが少ない通貨のほうが安心です。逆に新興国通貨など、激しく為替が変動する通貨の債券は避けたほうがいいでしょう。

(5)格付け:安全性の基準
債券は銘柄ごとに、格付け機関によって評価されます。「投資適格水準」にあるものを選ぶのが無難です。格付けは債券の販売条件に記載されています。

債券の買い方

債券はどこで買えるのか。いい条件の銘柄が見つからない。
そんなご相談が私のもとにも寄せられることがあります。
債券は証券会社が中心に取り扱っています。ただし株式ほどオープンな市場ではないため、担当者などから情報を手に入れる必要があるのが現状です。
新規発行される個人向け国債や一部の外貨建ての新発債券については、証券会社のほか銀行等の金融機関や郵便局などでも購入できるときもあります。しかし、実際に個人投資家が債券を買うとなると、既発債が中心になるでしょう。そして、既発債のほとんどは、個人にオープンな取引所ではなく「店頭取引」と呼ばれる相対取引の形で取引されます。
金融機関の窓口で債券を買う場合は、こんなふうに伝えてください。

「投資信託ではなく、個別銘柄の債券で条件のいいものを見せてください」

そうすると担当者が、そのとき売りに出されている債券をいくつか見繕ってくれるはずです。「なんとなく債券投資がいいと思っていて…」などという相談の仕方をすると、債券を組み込んだ投資信託や安定型のファンドラップなど別の商品を強く勧められる可能性もあります。
提示された債券がいいものかどうかわからない、という不安もあるかと思います。でも心配ありません。日本国内で販売されている債券のほとんどは、投資適格水準の格付けです。
あとは先述した債券選びのポイントを確認しながら、自分に合った銘柄を探しましょう。

西崎努(にしざきつとむ)/リーファス株式会社 代表取締役社長。2007 年に日興コーディアル証券(現SMBC 日興証券)に入社、CFP 資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール・ロンドンでの海外研修も経験。2017 年4月に独立し、リーファス株式会社を設立。同年10 月に金融商品仲介業の登録を受ける。金融商品の仕組みはもちろん、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法まで熟知したアドバイスが好評。投資で悩んでいる人たちの駆け込み寺として、リタイア期前後や高齢期の投資家を中心に相談が殺到。無駄と不安をなくす投資の見直しで多くのシニア世代のお金を守り、預かり資産はわずか2 年で60億円を超える。仕組みがわかりにくい金融商品、コストが割高な商品が売れすぎる日本の現状を問題視し、本当に安心して老後資金を守るための情報発信を続けている。日経新聞、楽天証券サイト「トウシル」などメディアへの寄稿多数。
公式ホームページ: https://refas.co.jp/

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