家族・親族に加え、友人や会社の上司・同僚を招いて執り行う従来の結婚式。神社や教会で式を挙げた後は、別会場で披露宴を――。こうしたスタイルの結婚式には、費用が300万円以上かかるのが一般的です。しかし一方で、30歳代の2人以上世帯の平均貯金額は644万円というデータからして、300万円以上という金額は決して気軽に出せるものではありません。
そういった社会的背景もあり、最近は自己資金がほとんどなくてもスマートに結婚式を実現できるサービスが登場してきました。コロナ禍の影響も重なって、少人数の家族婚のみならず、挙式風の記念写真を撮影するフォトウェディングといったスタイルも人気のサービスです。今、どんなスタイルの結婚式・結婚イベントが求められているのでしょうか。
そこで、タメニー株式会社(https://tameny.jp/)が、25~39歳の未婚男女2,412人に対して、「結婚と経済状況」に関するアンケート調査を実施したので、詳しくご紹介します。コロナ禍の影響も合わせて見ていきましょう。
■300万円以上の結婚式を希望するのは1割未満
結婚式の予算は、どのくらいを考えている人が多いのでしょうか。結婚を「したいという意欲がある」と答えた人を対象に聞いてみました。
たくさんの人数を招待して実施する結婚式・披露宴では、300万円以上となることがほとんどですが、「301万円以上」の結婚式を希望するのはわずか7.8%にとどまりました。「50万円以内」が22.1%、「51万円~100万円」が12.2%となり、およそ3人に1人が100万円以内の予算を希望していました。「結婚式は開きたくない」割合も31.9%に達しています。
この結果を年収帯別に集計したものが次のグラフです。「301万円以上」の結婚式について、年収500万円を超えると希望する割合が高くなり、「500万円以上~800万円未満」では19.6%、「800万円以上」では50.0%が結婚式の予算として「301万円以上」を考えていることが分かりました。
■人気の結婚式は年収によって異なる
続いて、結婚式・結婚イベントはどんなスタイルでやりたいかを、尋ねてみました。
コロナ禍によって注目されたオンラインは、結婚式の場でも広まる傾向はあるのでしょうか。「オンライン結婚式」(1.2%)、「両家顔合わせ(オンライン)」(1.9%)と、希望するのはごくわずかでした。
一方で「フォトウェディング」については14.6%が希望しています。「コロナ禍ですぐに結婚式を挙げることが難しいので、挙式風の記念写真だけでも撮影しておきたい」といったニーズが増えていると推測されます。
年収帯別にまとめた結果は以下のとおりです。
「神前式」「教会式」「仏前式」といった結婚式の様式については、年収帯によって大きな差はありませんでした。「披露宴」「2次会」は、年収が多いグループほどやりたい割合が高くなり、その会場となる「ホテルウェディング」を希望する層も高年収になるほど増えます。
逆に年収が低いグループになるほど、「少人数婚」などの費用を抑えられる結婚式・結婚イベントが支持されています。コロナ禍の影響で増えている「フォトウェディング」ですが、低予算で実現できるという面もあるのかもしれません。
■コロナ禍で結婚式事情はどうなった?
結婚式を挙げようと検討していた人達は、このコロナ禍でどう考えが変わったのでしょうか。アンケートでは、次のようなコメントが挙げられたのでご紹介します。
・コロナ前は、多くの人数で集まる、華やかな式が良いと考えていた。感染リスクを考えると、静かに家族と親しい友人のみの式で、安全を守る事が大切ではないかと考えるようになった。友人も招かず、家族のみでも十分だと思う。
・コロナが落ち着くまでは、結婚式は控えたいと思いました。オンラインでの参加も考えましたが、やはり直接その場で見て欲しい気持ちが強まりました。コロナ後でも人数はできるだけ少なく、親しい人のみで行いたいと思っています。
・コロナ禍の前は、結婚式は一生に一度のことなので盛大に行いたいと考えていました。しかし、本当に大事な人たちだけを招待して行いたいと考えるようになりました。小規模でもあたたかい結婚式をしたいです。
・身近な家族だけで、ちょっとした式を開くくらいで十分だと考えるようになった。家族に晴れ姿を見せたいので、その意味では小規模でいいからやりたい。招待する範囲を家族以外まで広げるなら、オンラインがいい。絶妙な仲の良さの人にも気軽に参加してもらえそう(コロナ禍でなくてもオンラインはいい案だと思う)
・親族のみを招待する規模の、家族婚にせざるを得ないが、オンライン結婚式はまったく考えておらずリアルにやりたい。まわりでやった人が多く好評なフォトウェディングは、家族婚と共にやりたい。情勢次第で家族婚すら無理なら、フォトウェディングのみもありだろう。
・ウェディングドレスは憧れだけど、注目の的になるのは苦手だったので、写真だけ撮る結婚式がコロナ禍によってさらに広まれば、したいなぁと思います。海外に出向き、ドレスを着て写真だけ撮る、というプランがあるので、とても憧れます。
・コロナの流行前から親族と少人数の友人のみでしたいと考えていました。コロナ流行後もその考えは変わりませんが、式を開かずにフォトウェディングのみにして、親族の家での顔合わせだけでも良いかなと思っています。
・結婚式に職場の上司等を呼びたくないので、コロナの影響で結婚式を挙げないことへの抵抗は少なくなった、と感じています。また、本当に親しい友人や家族と結婚式を挙げたかったので、コロナによりプランが増えたのでありがたいです。
・もともと、あまり大きくやりたくないと思っていました。さらにコロナ禍の影響で、結婚式はなしでもいいかなと思うようになりました。もしやるとしても、近い親族だけを集めて10人程度で行いたいです。コロナが収束したら、旅行を兼ねてフォトウェディングを考えています。
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従来型の結婚式にとらわれずに、家族の絆を深めるため、美しい思い出をつくるための儀式として、考える人が増えていることがうかがえる調査結果でした。より多くの人が、やってよかったと思える結婚式を実現するために、サービスはますます多様化に向かうのかもしれません。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:25~39歳の未婚男女2,412名のうち、結婚の意欲があると回答した1,525人
集計期間:2021年3月29日~31日