日本人を父に、米国人を母に生まれたイサム・ノグチ(1904-1988)は、東西の間でアイデンティティの葛藤に苦しみながら、独自の彫刻哲学を打ち立てた20世紀を代表するアーティストです。
ノグチは戦争によって、両親の祖国が互いに敵国になるという痛みを経験しており、平和への強い願いを込めた作品も残しています。

イサム・ノグチ《ねじれた柱》
1982-84年 玄武岩
イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)
撮影:齋藤さだむ  
(C)2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS,NY/JASPAR,Tokyo E3713

ノグチのメッセージが込められた展覧会が開かれています。(8月29日まで、開室状況など最新情報は公式サイトにてご確認ください。)
本展の見どころを、担当学芸員である東京都美術館の中原淳行さんにうかがいました。

「ノグチは生涯を通じて多彩な活動を行ったアーティストですが、一貫して彫刻家であり続けたつくり手です。本展は彼のエッセンスに迫るべく、3つの展示室を3つの庭に見立て、その発見の道行きを文字通り体感していただきたく構成を試みました。

イサム・ノグチ《黒い太陽》1967-69年
スウェーデン産花崗岩 国立国際美術館蔵 
(C)2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS,NY/JASPAR,Tokyo E3713

第1章『彫刻の宇宙』はノグチの彫刻の多様性に焦点を当てていますが、最初に《黒い太陽》と150灯の『あかり』のインスタレーションが皆様を迎えます。ゆっくりと明滅を繰り返す『あかり』の柔らかな光の変化を是非味わってください。

「あかり」インスタレーション 撮影:齋藤さだむ 

第2章『かろみの世界』では、ノグチが日本の伝統から触発されて制作した金属彫刻を一堂に集めました。深紅の『プレイスカルプチュア』とともに、彼ならではの遊び心=ユーモアにふれていただけるかと思います。

イサム・ノグチ《ヴォイド》
1971年(鋳造1980年) ブロンズ
和歌山県立近代美術館蔵
撮影:齋藤さだむ
(C)2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS,NY/JASPAR,Tokyo E3713

第3章『石の庭』は本展のハイライトというべき最終章です。ノグチが晩年に到達した独自の石彫の世界をご堪能ください」

イサム・ノグチ《無題》
1987年 安山岩
イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)
撮影:齋藤さだむ 
(C)2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS,NY/JASPAR,Tokyo E3713

発見の道をたどるノグチが、道の先に見たものは…。ぜひ会場で発見してください。

【開催要項】
イサム・ノグチ 発見の道
会期:2021年4月24日(土)~8月29日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話:03・5777・8600(ハローダイヤル)
開室時間:9時30分から17時30分まで(入室は閉室30分前まで)
休室日:月曜日(ただし7月26日、8月2日、8月9日は開室)
公式サイト:https://isamunoguchi.exhibit.jp/
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
※本展は日時指定予約を推奨しています。詳細は公式サイトをご覧ください

取材・文/池田充枝

 

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