モラハラ夫に耐え続けた10年。父の「帰って来い」に救われた

プロポーズを受けたと同時に退職も決まります。結婚式や新居についてもすべて相手の意向に沿った感じだったとか。しかし、自分で決めることが苦手だった真奈さんはそこに文句などなかったと語ります。

「決めてもらえたほうが楽ですよね。何かを決めるということはそのことに責任を持つことにもなりますし、それは少し重かった。相手は2度目の結婚ということで披露宴は行わずに親族だけのこじんまりとした式だけを行いました。そして結婚することで私たちが交際していたことも明るみになるので、結婚を決める前に自己都合で退職したんです。相手が信頼している上司にだけ事実を伝えていました」

真奈さんの両親は結婚するといったときには相手に子どもがいることで少し難色を示しますが、外面の良い元旦那さまの姿に態度を軟化、父親は初めて真奈さんのことを褒めてくれたそう。

「大人になってからは父親と言葉を交わすこともありましたが、お互いの近況とか世間話ばかり。私のことを何か言うことはありませんでした。でも結婚が決まり相手が帰った後には『立派に育ってくれた』と。この言葉で中学のことも知っていたんじゃないかなって。本当に嬉しそうで、結婚って自分だけのことじゃなくて、家族のためでもあるんだなって痛感しましたね」

しかし、真奈さんが思い描いた結婚生活ではありませんでした。

「相手が望んで家庭に入ったのに、何かにつけて養ってやっているということを言われるようになりました。反対はしないものの、パート勤務や習い事を始めても『続くわけない。無駄』と。私のことを縛るわけじゃないけど、否定し続けられました。何かを相談すると『自分で何1つ決められない』、友人とご飯の約束をすると『友達いたんだ』。さらには結婚前には作ろうと約束していた子どもについても、欲しくないと言われました。理由は『私との間の子が優秀なわけがない』です。こんなことが10年も続いたんです」

それでも離婚してはいけないと思い続けていたという真奈さん。親にもずっと相談していなかったそうですが、バレたきっかけは避妊の目的で服用していたピルの存在でした。その事実を知って、父親は「帰って来い」と言ってくれたそう。

「ずっと子どものことは自分が原因でできないと親に伝えていたのです。それなら追及されることもないと思って。しかしピルのことがバレてしまって、そこで真実を伝えることに。一度吐き出してしまうと、相手の悪口も止まりませんでした。最初は母親に話していただけだったんですが、隣の部屋にいる父親も聞いていたみたいで。『すぐに帰って来い』と言ってくれました。

元夫は離婚したくなかったため、そこから離婚に至るまでお互いの家族を含めて時間はかかりました。また親に迷惑をかけてしまい、そのことを親に謝ったことがあるんですが、『迷惑なんてかけられていない』とどちらも否定してくれました。これは私の早とちりだったんですかね。今は前よりもずっと幸せです」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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