娘をライバル視する母親。夜に両親が食事に出かけた後、一人で過ごすのが唯一の好きな時間だった

祥子さんは中学時代部活動も忙しくなり、家に帰る時間も遅くなっていきます。その影響もあり、無視などはないものの、母親と話す時間が徐々に減っていったとか。

「休日にも私は家に居たくなくて、友達と出かけることが増えていきました。夜には家でご飯を食べますが、会話はあんまりなくて。テレビの音だけが響くような食卓でしたね。父親も反抗期だと思って気にしていなかったようで。父とはどの家庭にもあるような父と娘の距離というか、中学生になると普通でも会話は減っていきました。

でも、両親は仲良しでした。2人で晩御飯を食べに行くことも多かったし。一応父から誘ってくれて、私が断って2人で出かけるみたいな感じだったので、寂しいという感情はなかったです。夜に家で1人になる時間はとても楽しかったですから。大音量でテレビをつけたり、当時はビデオで、居間にしかビデオデッキはなかったので、録画しておいたドラマをゆったりと1人で見たり、充実した時間でした」

年齢を重ねるにつれて、母親は祥子さんへ強くあたることが増えていきます。それは父親が祥子さんを干渉することによりエスカレートしていったそうです。

「あからさまに父と私が話すこと、本当にたまに駅まで迎えに来てもらうことになどに対して、嫌がるようになっていきました。まるでヤキモチを焼いているような、恋愛のライバル視をされているような感じでしたね。一度休日に朝起きて、両親におはようと挨拶したことがあったんですが、後から母親に『あんな甘えた口調で言わずに、もっとシャキッと話しなさい。いやらしい』と言われたことがあって。朝だから寝ぼけていただけなのに。私も母親といることがだんだんストレスになっていき、顔の口周りに痛みを伴うような吹き出物がいっぱいできるようになったんです。そんな母親とどうしても離れたかった。だから祖父母に相談して、実家を出ることにしました」

祖父母の家に居候することで母とまったく会わなくなった。自分の気持ちは徐々に落ち着いていくものの、母親の気持ちは治まらずに……。
~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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