「離婚する理由がない」のは夫側の意見。いつまでも意見は受け入れてもらえない

不妊治療を続けること8年、「もうやめたい」と言い出したのは正美さんから。それは結婚生活も含んでいたそう。

「不妊治療ってお金があると終わりが見えないんです。いろんな薬も試しましたし、体外受精も行ったんですが……。でも最後のほうはタイミング法に戻り、夫の協力もその中の1日だけになって、その頃には家で夫と顔を合わすのはその日だけになっていました。普段は夫は2階に、私は1階で生活するようになっているのに、その日だけ顔を合わす以上のことをするんですよ、おかしいですよね。

もうやめたいと伝えたときに夫は『わかった』と一言だけ。そこから家では完全に他人になりました。言葉を交わすこともなく、何か言いたいことがあればメールしていたんです。同じ家にいるのに。私は子どもを諦めた1か月後ぐらいに夫にメールで『離婚しよう』と伝えました。それに返事はありませんでした」

先ほどの会話の中に“家で”との言葉があったように、家の外では夫婦生活を演じていたと言います。その理由は、月に2度ある義両親との食事会でした。

「義実家は遠くないんですが、義母は車の免許を持っていないので基本平日は私が義実家を訪れることがほとんどで、それも年々減少していって私も子どもを諦めてからはパートですが再び働き始めたので、平日はほとんど会わないようになっていました。

食事会を決めたのは義父と夫です。これも勝手に決められていました。別々に生活するようになってからも夫からそのスケジュールだけはキッチリ送られてきて、そこでは夫婦がうまくいっている姿の偽装を手伝わされるのです」

離婚したいと他に行動を起こされたことはないのでしょうか。

「もちろんあります。夫が生活する2階に上がり、離婚について話し合ったこともあります。でも、『離婚する理由がない』『浮気もお金の苦労もさせていない』と言ってまったく取り合ってもらえませんでした。他にも、食事会をボイコットしたこともあります。夫は義父には体調不良と伝えて義母には真実を伝えたらしく、義母からは離婚しないように一時はほぼ毎日タクシーを使ってまで私の様子を見に来るようになってしまって。

夫はお金は入れてくれているので、このまま我慢すれば静かに生活していけるのかなと我慢が染みついてきています」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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