義母と義妹という外堀を固めて、約2年の交際で結婚を勝ち取る
香織さんが旦那さまと出会ったのは30歳のとき。当時勤めていたイベントの運営会社に旦那さまが転職してきたという、社内恋愛だったそう。
「会社はイベントを企画したり、イベントホールなどの場所を管理していたり、小規模のワークショップなどを運営するときもありました。そこに転職組で夫が入ってきて、出会いました。夫はコミュニケーションスキルが高いタイプで、すぐにみんなと打ち解けて、そこから付き合うまでは3か月ほどで、早かったと思います。独身の2人がお互いにいいなと思っていて、どちらかが積極的だったらそんなに時間はかかりませんよね。毎日顔を合わすような環境なんですから。
付き合って、2年と少しで結婚の意志を確認して、33歳のときに結婚に至りました。私はもっと早くに結婚したい願望はあったんですけど、前の彼氏に結婚を急かして別れる結果になっていたので、慎重にいった感じです(苦笑)」
結婚には義母の協力もあったそう。
「結婚の話なんて2人の間で一切出ていない時期で、たしか付き合って半年ほどだったときに『母親が会いたがっている』と彼の実家に誘われたんです。親に会わすという行為は真剣に付き合ってくれているというサインでもあるので、嬉しかったですね。
そしてお会いしたときには大歓迎してくれて。たくさんの手料理に、ケーキまでありました。用意してくれた量があまりにも多くて、私は必死に食べたんですよ。そしたらたくさん食べるところや好き嫌いがないところを気にいっていただき、『いつお嫁に来ても大丈夫ね』って言ってもらいました。嫁のテストに合格したんだなって思いましたね」
そこから付き合っている期間に家族行事にも参加。一緒にお花見をしたときには旦那さまの妹夫婦とも仲良くなったと言います。
「お正月やお盆ではなく、お花見や家族がちょっとしたお出かけする日などに呼んでもらっていました。そこで義妹夫婦にも紹介してもらい、外堀を固めていった感じです。ちゃんとしたプロポーズは受けていませんから。
夫の家族は全員とても優しくて、受け入れてくれていることがちゃんと伝わってきて。程よい距離感で、これならうまくやっていけると思っていました」
結婚を機により近くなる距離感。強制ではないものの断りづらいお誘いが増え、善意の押しつけが辛くなっていく。【その2に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。