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『現代用語の基礎知識 2020』が大胆にリニューアル!|「闇営業」「上級国民」「軽減税率」「#/KuToo」今年の新語を振り返る

文/印南敦史

あの分厚い事典が大胆にリニューアル!|『現代用語の基礎知識 2020』
ふと、「そういえば、いまはどうなっているのだろう?」と感じたのだった。なんの話かといえば、『現代用語の基礎知識』のことである。

ひと昔前までは、この時期になれば分厚いあの事典を購入するのが毎年の恒例だった。ずっしりとした重さを感じながら書店を出て帰路につくと、「もう今年も終わりだなぁ」と感じたものである。

ところが、やがてインターネットの時代が訪れた。多くの人がより簡単なネットに流れ、必然的に印刷媒体全般の売り上げが落ちた。

そんな流れのなかで“分厚く重たい”事典のニーズが減っていくのは当然の話で、気がつけば私との間にも距離ができ、ひとつの年末行事がいつしか途絶えたのだった。

だからここ数年は、年末だからといってそのことを思い出すこともなかったのである。が、ある日、最新版『現代用語の基礎知識 2020』を書店で見かけ、軽い衝撃を受けた。

なぜなら、あの体裁から一転し、300ページ弱のコンパクトサイズに様変わりしていたからである。かつては1200ページくらいあったのだから、約1/4に減ったことになる。

そうなると、逆に興味を惹かれてしまう。そこで手にとってみたところ、なかなかに新鮮だった。

やはりこれくらいのボリューム感だと、手にも負担がかからない。持ちやすく、ページをめくりやすいのだ。ちなみに紙質もは従来より厚く、しっかりした印象がある。

さて、中身はどうだろう。ページ数が大幅に減ったということは、内容的にも変化があるということである。だとすれば、果たしてどこがどう変わったのだろうか?

最大の特徴は「構成」である。全体を6つのカテゴリーに分け、この1年を象徴するような「新語・新事象」にフォーカスしているのだ。

たとえば[カテゴリー1時事・社会]には、「令和」「闇営業」「上級国民」「キャッシュレス決済」「軽減税率」「れいわ新選組」「京アニ放火事件」「#/KuToo」などなど、今年よく目にしたキーワードが並ぶ。

[カテゴリー2流行・若者]には「タピオカミルクティー」「サブスク(サブスクリプション)」などが、 [カテゴリー3キーパーソン]には「あいみょん」「樹木希林」「ジャニー喜多川」「グレタ・トゥーンベリ」らの名前が確認できる。

続く[カテゴリー4発言・日本語]には、「戦争しないとどうしようもなくないですか?」「恥を知りなさい!」「デジタルタトゥー」「スクハラ(スクールハラスメント)」などが登場。

[カテゴリー5商品など]には「ボヘミアン・ラプソディ」「翔んで埼玉」「タラタラしてんじゃねーよ」「全裸監督」などなど。そして[カテゴリー6キーナンバー]では、「9秒97(男子陸上サニブラウン日本記録更新)」から「200万人(香港デモ参加者の数)など“数字”によって世相を表している。

▶︎TikTok(ティックトック)
2016年スタートのショート動画共有アプリ。用意された音楽を付け、エフェクトなどで加工した15秒までの動画が投稿できる。動画投稿者はティックトッカーと呼ばれる。AI(人工知能)でユーザーが好みそうな動画が表示されるため、ほかのサービスよりも多くのリアクションが期待できる。同アプリで倖田未來の『め組のひと』が再ブレークしたほか、「#誰でもダンス」などの新しい流行語を生んでいる。(本書216ページより引用)

たとえば新語がこのようにまとめられているので、「気にはなっていたけれど、いまさら聞くに聞けない」ことばを無理なく確認することができるのだ。

2019年のキーパーソンなどを紹介した【巻頭特集】、「令和と皇室」「改憲」「あいちトリエンナーレ問題」などに斬り込んだ【現代用語ジャーナル】も読みごたえがあり、大きな満足感を得ることができるだろう。

* * *

今年で創刊72周年だそうだが、それだけの時間が経てば社会も変わり、人も変わり、媒体のあり方も変わる。そう考えると、大胆にも見える今回のリニューアルは、しかるべきものなのだったのだということがわかる。

それに、この厚さ、軽さはなかなかに心地よい。これまでのスタイルとは違い、気軽に手にとってみようという気にさせるのだ。そのあたりもまた、とても重要なポイントではないだろうか?

なお、1,500円+税と価格も改訂されているので、そういう意味でも魅力的である。

『現代用語の基礎知識 2020 (新創刊) 』

著者/編集:佐藤 優, 金田一 秀穂

自由国民社

1,650円(税込)

2019年11月発売

現代用語の基礎知識 2020 (新創刊) 

文/印南敦史
作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』などがある。新刊は『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)。

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