ライターI(以下I):『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(以下『べらぼう』)第3回では、田沼意次(演・渡辺謙)と将軍徳川家治(演・眞島秀和)との間で語られた、田安家の賢丸(演・寺田心)を奥州白河藩への養子にするという問題が描かれました。
編集者A(以下A):将軍家治にとって賢丸は従兄弟で、ともに8代将軍徳川吉宗の孫になります。1月4日にテレビ朝日系列で『新・暴れん坊将軍』が放送されて、吉宗の嫡男家重、次男田安宗武、三男一橋宗尹などが登場していたので、図らずも『べらぼう』の「予習」になった感じです。さて、劇中では、田安家の賢丸を奥州白河藩に養子に出すというやり取りが交わされました。その奥州白河藩ですが、実はかなり頻繁に藩主が入れ替わっています。最初の藩主は丹羽長重。織田信長の重臣だった丹羽長秀の息子になります。
I:羽柴秀吉の「羽」の由来となった「丹羽」ですよね。最初から名門の藩だったんですね。
A:入れ替わりが激しいですが、確かに藩主は「名門」が続きます。徳川四天王のひとりで、『どうする家康』では杉野遥亮さんが演じていた榊原康政の孫榊原忠次、同じく徳川四天王で『どうする家康』で山田裕貴さんが演じた本多忠勝の孫本多忠義。次いで、家康の外孫にあたる松平忠弘です。
I:いや、本当に名門続きですね。
A:白河藩の入れ替わりはさらに続きます。家康の外孫である松平家のあとは、同じ松平家でも家康次男の秀康の系統で家康のひ孫にあたる松平直矩。さらに『どうする家康』でリリー・フランキーさんが演じた久松俊勝(長家/家康実母伝通院の夫)所生の家康異父弟三兄弟のうち定勝の流れを汲む久松松平の松平定賢が入府します。『べらぼう』の時代は定賢の息子定邦が藩主で、その養子に田安家の賢丸をというのが劇中現在地となります。
I:もともと家康の異父弟の家系ですから名門といえば名門だと思うのですが、吉宗の孫を養子にすることで、箔をつけようということなんですね。
【白河小峰城は「日本百名城」のひとつ。次ページに続きます】