正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先⽣やデジタルデバイスの出現により、便利になった反⾯、情報の中⾝については⼗分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。
今回の「脳トレ漢字」は、「総帥」をご紹介します。「そうし」と読んでしまいそうになりますが、よく見ると漢字が違いますね。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「総帥」とは何とよむ?
「総帥」の読み方をご存知でしょうか? 「そうし」ではなく……
正解は……
「そうすい」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「全軍を率いる人。総大将。転じて、企業グループなどの大きな組織を率いる人。」と説明されています。「敵の総帥」などのように使われる、「総帥」。最近はあまり見かけませんが、「総裁」や「最高指揮官」などの類義語として使われることが多いです。
また、「師」と書き間違えられることがありますが、正しくは「帥」です。
「総帥」の漢字の成り立ちは?
「総帥」に使われている「総」という漢字には、「糸でまとめてくくる」という意味があり、それが転じて「まとめる」「率いる」という意味になったと考えられています。また、「帥」には「率いる」「従える」という意味が含まれており、「総帥」の意味にもつながっていると考えられます。
岩崎弥太郎の格言
大きな組織を率いる人という意味として使われることが多い、「総帥」。大企業や財閥のトップという印象が強いですね。財閥といえば、三菱財閥の創設者・岩崎弥太郎がよく知られているのではないでしょうか?
土佐国(現在の高知県)安芸郡の地下(じげ)浪人の長男として生まれた岩崎弥太郎は、幼少期から和漢の書を学ぶなど、非常に博学多才だったそうです。貧しい家庭に生まれたこともあり、彼の人生は必ずしも順風満帆といえるものではなく、常に様々な問題が立ちはだかっていました。
しかし、決して志を捨てることなく尽力し続け、次第に土佐藩の重要な職務を任されるようになったそうです。明治3年(1870)、三菱の前身である商社・九十九(つくも)商会を設立した岩崎。時代の流れを注意深く読み、一代にして三菱財閥の基礎を築き上げました。
そんな彼の遺訓に、「機会は、人間一生のうちに誰でも一度や二度は必ず来るものである。それを捉え損ねると、その人は一生立身できない。」というものがあります。恵まれた環境ではなくとも、自分の力で成功をつかみ取った彼の言葉だからこそ、響くものがありますね。
***
いかがでしたか? 今回の「総帥」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 不可能に思えることでも、実はそうではないのかもしれません。目の前にある好機を逃さないように、いつも向上心をもって生きたいものですね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)