ライターI(以下I):『どうする家康』の新キャストの扮装カットが公開されました。
編集者A(以下A):今回公開されたのは、石田三成(演・中村七之助)、北条氏政(演・駿河太郎)、北条氏直(演・西山潤)、真田昌幸(演・佐藤浩市)、真田信幸(演・吉村界人)、真田信繁(演・日向亘)、福島正則(演・深水元基)、加藤清正(演・淵上泰史)、旭(演・山田真歩)、仲(演・高畑淳子)、寧々(演・和久井映見)の11キャスト。当欄では、このうち真田昌幸役の佐藤浩市さんに注目したいと思います。
I:(公開された扮装写真を見ながら)なんだか渋いというか、かっこいいですね。
A:いや、これはオールドファンにとっては涙腺崩壊の扮装写真ではないでしょうか。佐藤浩市さんの父三國連太郎さんが1981年にTBSで放送された大型時代劇『関ケ原』で本多正信役を演じた際の感じにそっくりです。
I:40年以上前の作品ですか。
A:TBSの開局30年を記念した大型時代劇です。徳川家康を森繫久彌、石田三成が加藤剛、島左近に三船敏郎という豪華キャストで、合戦シーンに動員されたエキストラや馬の数は大河ドラマをはるかにしのぐ空前絶後の番組でした。個人的には歴史系ドラマの中ではベスト3に入るクオリティの高い作品だと思っています。令和の民放ではまず制作できないでしょうね。
I:その『関ケ原』に三國連太郎さんが出演されていたんですね。
A:当時、三國連太郎さん57歳。森繫久彌さん演じる家康の側にあって老獪な進言をする本多正信を好演していました。加藤剛さん演じる実直な石田三成に感情移入していた視聴者にとって、本多正信の妖怪のような佇まいが憎らしくてたまりませんでした。
I:その本多正信の扮装にそっくりなのが『どうする家康』で真田昌幸を演じる佐藤浩市さんなんですね。
A:佐藤浩市さんは現在62歳。『関ケ原』の頃の三國連太郎さんの年齢をすでに超えているわけです。しかし、この扮装写真、ほんとうに『関ケ原』のときの本多正信にそっくりすぎて、これだけで涙腺がゆるみますね。
I:佐藤浩市さんは、昨年の『鎌倉殿の13人』での上総広常に続いて2年連続の大河ドラマ出演で真田昌幸役を演じます。どんな真田昌幸になるのかということももちろん興味深いですが、オールドファンの方々には、真田昌幸と「三國連太郎版本多正信」の激似ぶりを実見してほしいですね。
I:楽しみがまた増えましたね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。
●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり