えびすくいと初登場「森乱」

美しい信長小姓の森乱(演・大西利空)。(C)NHK

I: さて、おもてなしの場面では、家康自ら舞台に立って、えびすくいの踊りを披露することになりました。ここはなんとも切ないシーンになりました。

A:本作では、初回から酒井左衛門尉(演・大森南朋)が実際に踊っていたという「えびすくい」が度々登場します。当欄では、左衛門尉の酒井家が藩主を務めた山形県鶴岡市で「大えびすくい大会」でも開いてくれないだろうか、といってきました。でも今回のは確かにちょっぴりほろ苦いえびすくいになりましたね。

I:さて、今週信長小姓として有名な森乱(演・大西利空)が登場しました。蘭丸の呼称で知られますが、本作では「森乱」ということです。

A:この森乱の森家は、源義家七男義隆の子孫と伝承されています。信長家臣として仕えた森乱の父・可成は姉川合戦で討ち死にしています。「乱」の兄弟は6人いますが、長男可隆が朝倉攻めの際に討ち死に。三男「乱」、四男「坊」、五男「力」はいずれも信長の小姓を務めていました。

I:森家の歴史を振り返ると涙がこぼれますね。

A:森家の歴史は一年ぶっ通しは厳しいですが、3か月くらいなら大河ドラマの素材になるのではないかなと思ったりします。父可成は桶狭間にも従軍し姉川合戦で討ち死に。「乱・坊・力」の兄弟に、可隆、長可の兄らの生涯、そして、最後に残った男子がどうなったか……。森家のほかに東北から津軽家、関東から北条家、関西から尼子家、四国からは長曾我部、九州から立花とか竜造寺ですとか……。

I:3か月ずつやったらもう1年突破しちゃうじゃないですか。それに小田原北条氏は1年枠でやってほしいと思っている視聴者は多いと思いますよ。

「信長を殺す」 衝撃発言が飛び出す

I:ということで、家康家臣団が、家康の信長に対する態度に憤懣やるかたない様子でした。私は、信長が家康に強制したわけでもないし、家臣団の怒りはお門違いではないかと思ったりしました。「厭離穢土欣求浄土」の旗に信長が難癖をつけたシーンも「おもてなしの宴席の場で掲げる旗ではないよね」ってつぶやきながら見ていました(笑)。

A:そうですか。私は「あ、家臣団もほとんど月代を剃っている」という感覚で見ていました。ところが、その流れの中で家康から衝撃的な言葉が発せられました。

I:〈信長を殺す〉ですね。

A:そうきましたか、という思いです。これまで本能寺の変の動機については、百花繚乱で「徳川家康黒幕説」もあるわけですが、さてさてどのような展開になっていくのでしょうか。

I:本能寺の変は2020年の『麒麟がくる』でも扱われました。今週の流れでいくとどんな本能寺になるのですかね。家康が直接攻め入ることはないと思いますが……。

A: その本能寺の変もまもなく。秀吉(演・ムロツヨシ)の弟秀長(演・佐藤隆太)も登場してますます面白くなりそうな展開です。

I:楽しみですね。

楽しそうに馬で駆ける信長(左/演・岡田准一)と家康。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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