豪胆な猛将、渡辺守綱を演じる木村昴さん。(C)NHK

ライターI(以下I):本編とは別に毎週お送りしている「秘話発信編」ですが、今週は徳川十六将のひとりである渡辺守綱を演じる木村昴さんの登場です。

編集者A(以下A):木村さんは1990年生まれの32歳。大河ドラマは昨年の『鎌倉殿の13人』の以仁王役がデビューという気鋭の俳優さんです。まず、そのことに触れたコメントをどうぞ。

前作では、一話のみの出演でセリフも3行ほどだったので、今回も「わずかでもお力になれれば……」くらいの気持ちでいたのですが、台本を束でドーンと頂きまして、結構出てくる役なのだと悟りました。嬉しい反面、「どうする昴?!」と思ったところからスタートしました。

A:昨年の以仁王はなんだか貫禄あるたたずまいだと思って見ていましたが、登場はわずか。その俳優が翌年に「徳川十六将」のひとりで「槍の半蔵」とも称される勇将の役を得るとは感慨深いです。

I:木村さんは小学生のころに大河ドラマが大好きな祖父と一緒に視聴するのが楽しみだったそうですよ。

大河ドラマへの思いを語ると、私が小学生の頃にさかのぼるんですけれども……。僕の祖父は大河ドラマが大好きだったんです。当然毎年欠かさず見ていましたし、関連書籍やその歴史の文献も並行して読みながら見るくらい、それはもう熱烈なファンだったんです。ですから、僕もいつしか「大河ドラマかっこいいな」「いつか僕が出ている大河ドラマをおじいちゃんに見て欲しいな」という気持ちが自然と芽生えていきました。

A:いい話ですねぇ。1990年生まれの小学生時代というと、『毛利元就』『徳川慶喜』『元禄繚乱』『葵 徳川三代』『北条時宗』『利家とまつ 加賀百万石物語』の時代ですね。なかなかに名作揃いですね。おじいちゃんが関連書籍まで読破していたというのも驚きです。大河ドラマファンとしては、このコメントだけで一気にファンになってしまいますね(笑)。

I:今回の出演、おじいちゃんに報告できたのですかね。私はそんなところが気になったりします。さて、その木村さんですが、小学生時代に大河ドラマのオーディションに挑戦していたそうです。

実は小学生の頃に、子役として4作品くらい大河ドラマのオーディションに挑戦したことがあったんです。しかし、自分で言うのも変ですが、当時から日本人離れした顔立ちをしていたため、時代的にも時代劇にも合わないと言われなかなか役に恵まれなかったんです。ですが時代が巡り、この顔でも大河ドラマに出られるようになりました(笑)! 昔挑戦した経験があるからこそ、こうして大人になって出演できることが本当に嬉しいです。

A:前出の6作品のどれかに挑んでいたんですね。これもまたいい話だなぁ。そのときの話をもっと聞いてみたいですね。

I:さて、木村さんは役作りについても語ってくれています。

渡辺守綱は槍の名手であったということで、豪快な立ち回りも見どころです。性格としては「おおらか・女好きの一面もある・我が道を行くタイプ」だと最初に伺いました。それを聞いてぱっと浮かんだのは、僕がずっと演じてきた、あの“ガキ大将”でした。豪快で自由奔放だけど、ここぞというときはすごく優しくて頼りになる。そうした部分が重なり、役のイメージは“ガキ大将”とも照らし合わせながら膨らませました。

I:オブラートに包んだ言い方をしていますが、「ガキ大将」とは、木村さんが声優として担当している『ドラえもん』のジャイアン(剛田武)ですね。

A:いや、実は、木村さんが渡辺守綱を演じるということで、ジャイアンのシーンをじっくり見てしまいました。ふだんはあまり意識しないのですが、心の塵が払われる思いがしましたよ。

I:大げさだなあ。最後に渡辺守綱を演じる上での心構えを語ってくれました。

渡辺守綱を演じるにあたっては、オリジナリティーを出したいという思いもあり、あえて戦国時代っぽくないキャラクター作りをしようと努めています。もちろん考証の先生方がいらっしゃるので 、所作から言葉遣いまで細かくご指導くださっています。でも、少しだけその枠を超えてみよう! という試みをしているところです。「どうする家康」という作品の中で、やや異色というか、視聴者の皆さんの想像をほんの少しだけ超えられるような役作りを頑張ってみたいと思っています。

A:こういう話に触れると楽しみが倍増しますね。ちなみに「槍の半蔵」こと渡辺半蔵守綱は、姉川合戦など数々の合戦で武功をあげていきます。まさに「徳川十六将」にふさわしい勇将でした。

I:晩年には、家康の直命で九男義直の尾張襲封の際に補佐役として尾張藩に入ります。自分の息子の側近にするわけですから、家康から信頼されていたのでしょう。その渡辺半蔵家の子孫たちは、家老職も務める尾張藩重臣として幕末まで血脈を保ちます。

A:それも先祖渡辺守綱の「槍働き」のおかげなんですよね。

あえて戦国時代っぽくないキャラクターになるよう役作りしているという木村さん。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

 

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