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マントをまとってご機嫌な光秀(演・長谷川博己)。

今週放送の第38話を含めて残り7話になった『麒麟がくる』。ついに登場した斎藤利三(演・須賀貴匡)を巡ってまたも信長(演・染谷将太)との溝を広げる光秀(演・長谷川博己)に、丹波攻略の新たなミッションが命じられた。

* * *

将軍義昭(演・滝藤賢一)に忠を尽くした三淵藤英(演・谷原章介)。

ライターI(以下I): 冒頭で三淵藤英(演・谷原章介)に切腹が命じられました。〈弟の藤孝(演・眞島秀和)はとうに幕府を見限った。その勇気が私にはない〉――。ジーンとくる場面でした。

編集者A(以下A):確かに。光秀(演・長谷川博己)が初めて藤英に会った時のことを〈見事な立ち振る舞いを拝見し、これが将軍の奉公衆かと目が洗われる思いでございました〉と回想していました。第5話のシーンですね。この時は、若き光秀が、松永久秀(演・吉田鋼太郎)と遊郭で飲み交わす場面があり、さらに将軍義輝(演・向井理)や奉公衆の藤英、藤孝兄弟とも初対面でした。当欄では〈今回の青春群像的な雰囲気を覚えておいてほしいですね。そうすると、やがてくるそれぞれの過酷な運命がグッと感じるものになると思います〉と指摘していました。

I:若い頃はまぶしく見えた藤英が今や敗将となっている。しかも自らの立身の象徴である坂本城に預かりの身。人生とは本当に劇場ですね(しみじみ)。

A:藤英は〈捨てられた花にも一度は咲いてみせたという誇りがある〉と言っていました。切腹の場面は、本当にグッとくるシーンになりました。

芦田愛菜のたまが初登場。

I:序盤の青春ぽい時代を思い出しながら見ると、自然に涙がこぼれてきましたね。ところで、光秀息女のたまの演者が芦田愛菜さんに変わりましたね。藤英と花を活けるシーンでしたが、これから死にゆく藤英と百合の切り花の対比に切なさ倍増でした。

A:後の細川ガラシャですね。さて、今週のトピックスのひとつは、やっとこさ斎藤利三(演・須賀貴匡)が登場したことです。稲葉良通(一鉄/演・村田雄浩)のもとから出奔してきたんですね。旧主良通が土岐頼芸、斎藤道三、同義龍を経て、〈龍興様を見捨てたお方でございます〉と悪しざまに非難していました。

I:回想シーンが懐かしかったですね。しかし、斎藤利三のいうことももっともなのですが、子孫が幕末まで大名で通したわけですから、稲葉一鉄は、見方を変えれば「機を見るに敏」。細川藤孝と共通するものを感じます。

A:まあ、世渡り上手ってとこですね。ところで、信長(演・染谷将太)は、すぐさま〈利三を稲葉に返せ〉と言ってきました。なんと金平糖を食べながらです(笑)。

I:金平糖は永禄12年(1569)にルイス・フロイスから献上されて以来、信長の好物になっていたようですね。その金平糖をこの場面にぶち込んでくるとは(笑)。光秀は、斎藤利三を稲葉に返すという選択肢はない感じでしたが、好物の金平糖を食べているときに、〈殿は三淵様にも紙切れ一枚で死をお命じになりました〉などと責められたら機嫌が悪くなるのは必定です。しかも光秀は信長から分けられた金平糖を手に握ったままでした。

A:握った金平糖がどうなったのか気になりました(笑)。信長は〈もうよい。帰れ!〉と光秀を一喝しますが、改めて呼び直して、丹波攻略を命じます。 5年に及ぶ光秀の苦難の戦いの始まりです。

I:信長が宣教師から献上されたというマントを光秀に下賜しましたね。そのマントを実際に身にまとうシーンは左馬助(演・間宮祥太朗)同様に吹き出しそうになりました。光秀がちょっと誇らしそうなのがまた。

A:マントといえば、劇中と同じ天正2年に信長が上杉謙信に贈ったものが現在も上杉神社(米沢市)に伝わっています。謙信も光秀のようにマントをまとったと想像すると楽しいですね。信長はマントを贈れば相手は喜ぶと思っていたんですかね(笑)。

I:帝には蘭奢待、将軍には鵠、でしたしね。

A: ところで、光秀と信長が対面していた妙覚寺の庭の紅葉が美しくて目に焼き付きました。大河ドラマは背景のセットを見るのも楽しみですよね。

光秀(演・長谷川博己)の左手には金平糖が握られたまま。

丹波攻略はどこまで描かれるのか?

I:丹波攻略に話を戻したいと思います。劇中でも説明されていましたが、丹波攻略は光秀にとって苦難の道だったんですよね?

A:足かけ5年に渡る戦いでしたからね。本来、この丹波攻略が「THE 光秀」になるわけですが、最終盤の登場となりました。丹波の皆さんにとっては「ようやく来たか!」の思いでしょう。

I:もともとこの地域の自治体が中心になって光秀が主役の「大河誘致協議会」を結成していたわけですものね。

A:光秀の台詞の中で、治水について触れられるなど、後々の光秀の善政を示唆する場面があったのが印象的です。さらに劇中で菊丸(演・岡村隆史)が丹波国衆で話せる人間として小畠永明の名を挙げていました。光秀の丹波攻略に協力した人物ですね。

I:黒井城の赤井直正は台詞の中では登場しましたが、演者が出て来るのでしょうか?

A:残り話数を考えると、難しいかもしれないですね。

正親町天皇の譲位問題が登場

I:今週の初登場人物がもうひとり。誠仁(さねひと)親王(演・加藤清史郎)の蹴鞠のシーンがありました。

A:30年前の『太平記』でも脚本の池端俊策さんが蹴鞠のシーンを効果的に登場させていましたが、『麒麟』でも、織田信秀、朝倉義景の蹴鞠のシーンがありました。さて、正親町天皇の譲位問題といえば、信長が天皇に強要したという説が採られることも多く、それが本能寺の変朝廷関与説にもなることもあるのですが、今回は譲位を希望しているのは正親町天皇だという説が採用されていましたね。

I:その譲位問題と、近衛と二条との摂家間の権力闘争を絡めてきました。

A:保身のためにあっちにいったりこっちについたりしている近衛前久(演・本郷奏多)が、光秀にどちら側につくのか詰問される場面も熱いシーンでした。

I:〈私は信長の如き武将が好きなのじゃ。この際信長につかずして誰につく〉なんて都合のいいことを言って、と突っ込みたくなりますよね。本当に京の高位の人間ときたら……。

А:なにはともあれ、〈一に戦、二に戦。話は戦に勝ってから〉という状態に突入です。

I:本能寺の変に向けて、朝廷、摂家、足利義昭、秀吉、家康・・・・。誰がどう絡んで来るのか。こんがらがった糸状態に突入した感がありますね。

A:なんだかこんがらがったままクライマックスに突入しそうですが、どんな結末が待ち受けているのでしょうか。次回は1月3日。お正月ですが見逃せないですね。

●ライターI 月刊『サライ』ライター。2020年2月号の明智光秀特集の取材を担当。猫が好き。
●編集者A 月刊『サライ』編集者。歴史作家・安部龍太郎氏の「半島をゆく」を担当。初めて通しで視聴した大河ドラマは『草燃える』(79年)。NHKオンデマンドで過去の大河ドラマを夜中に視聴するのが楽しみ。 編集を担当した『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』(藤田達生著)も好評発売中。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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