浅草の次の街は「海辺の街」

――サライ世代は副業に興味がある人も多いのですが、趣味を突き詰めるとスキルになるような気がします。

そうですね。人脈も広がりますし、毎日が楽しくなります。ただ、骨董の場合は、それなりの授業料が必要(笑)。範囲も時計、カメラ、掛け軸、焼き物、ガラス、木工細工……と、とても広く、興味深い世界だと思いますよ。

僕は古物の免許を持っているので、骨董市場のセリに参加することもあるのですが、行くたびに、多くの人と知り合いになり、コレクションもどんどん増えていく。骨董仲間との情報交換も面白いですね。

――コレクターにならなくても、楽しめるものなのでしょうか。

それはもちろん楽しめますよ。日常的にいいものを使ってみることから始まります。これは、コレクターにはなかなかできないことなんですよ。僕だけでなく、コレクターは買っても使わないことが多い。すぐに大切に保管してしまうんです(笑)。

――蒐集し、所有することに意義がある……。

自分の審美眼や哲学で“これはいい”と思ったものを、ひたすら集めていますからね。それゆえに、系統立てられていますから、文化の継承にもつながっていきます。

ここ数年、著名なコレクターの方の訃報が入ることもあり、整理のお手伝いをすることもあるのですが、散逸してしまうと価値がなくなってしまうと感じます。ですから、なるべくまとめて買い取っていただける方に譲っていきたいと思っています。

だって、“和ガラス”といっても、皿、椀、氷コップ(カキ氷用の器)など多岐に渡っていますからね。醤油瓶が300個とか、ウランガラスが500個とか、これらを集めるのは本当に大変なことですから。

――新刊『ふるさと東京今昔散歩第1巻 浅草編』も、坂崎さんと生田さんの膨大な絵はがきコレクションから始まりました。ところで、“浅草編”とありますが、第二弾はあるのでしょうか。

現在、鋭意制作中です。次なる街は意外な街ですよ。上野、両国、向島、銀座などと思うかもしれませんが、違います。ヒントは、東京の海辺の町で、明治期から戦前までの観光地、大きな神社があって、海水浴場があって、遊郭と温泉があって、地場産業も発達している……答えは、羽田、蒲田方面です。意外なほど多くの絵はがきがあり、知らないことだらけ、面白いことだらけです。東京の深い魅力がわかりますよ。

――人生100年時代、好奇心を持ち続けることは大切だ。その対象は、意外なほど、身近にあるのかもしれない。

坂崎さんの最新刊

『ふるさと東京 今昔散歩』坂崎幸之助・生田誠 著
(フォト・パブリッシング)1500円+税
浅草の古い絵葉書の風景と、現在の風景を対比しつつ、当時の世相風俗を解説。坂崎さんの軽妙なエッセイを収録。
世界的な観光地・浅草の時代ごとの風景がわかる一冊。

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前書きより……

僕が生まれ育ったのは墨田区吾嬬町(現在の立花)。実家は小さな酒屋だが十人近い大家族。

その末っ子として生を受けたため、周りの大人達に囲まれて、やたら頭でっかちなマセたガキでした。

街の小さな酒屋とはいえ、当時は今と違って週のうちの六日間は鬼のように忙しく、親父と叔父たちは一日中配達を、それこそ閉店時間近くまで続けていたのを覚えています。

それでもたまに浅草や上野に連れて行ってくれたのは、今にして思うと親の心子知らず、本当に感謝の気持ちしかありません。

大人になって浅草の魅力を再発見し出した昨今、子供の頃そこで見た景色、経験は自分にとっての宝物だと改めて感じます。

浅草の今昔物語(奇譚)には、幼い自分へのノスタルジーと、大人になった自分にとっての浪漫が詰め込まれているのです。(by 坂崎幸之助)

撮影/フカヤマノリユキ 取材・文/前川亜紀

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