高層ビルに囲まれたエリアをぐるりと一周する、東京を代表する鉄道である山手線。実は古くからの地形を感じ取るには最適の路線なのだ。地形図を重ね合わせながら東側と西側に分けて観察してみたい。
【東側】海食崖の下を走る
海に飛び出すような線形(田端駅付近)
山手線の東側は元の海岸線であった崖の下を通っている。それが実感できるのが駒込〜田端間。切り通しから海へ飛び出るように、前面の風景が大きく広がる。


上野の山は海食崖の名残(上野駅付近)
「崖」をいちばん感じることができるのが上野駅付近。いわゆる「上野の山」が元の海食崖なのだ。国立科学博物館や寛永寺あたりから見れば、ずいぶん低い位置を山手線は通っている。

発掘された海中の築堤跡(高輪ゲートウェイ駅付近)
2019年に発見された高輪築堤跡は、1872年に新橋〜横浜間が開業した際、建設されたもの。陸上には用地がなくて線路が敷けず、海岸線に沿って石積みを築いて鉄道を通した遺構だ。

【西側】武蔵野台地の末端を横切る
神田川の深い谷(高田馬場~目白駅間)
「山手」の呼び名の起こりとなった武蔵野台地を、山手線は南北に縦断する。台地を刻む川でもっとも深い谷が神田川だ。台地の上の高田馬場駅から、やはり台地の上の目白駅へと上るため高い橋梁が建設された。


新宿駅はいちばん高いところ
自然地形上の駅でもっとも高い場所にあるのが新宿駅。標高約38mある。さらに北側で中央線をまたぐところが、“最高地点”だ。ちなみにいちばん低いのが品川駅で1.2m程度である。


谷底にある駅・渋谷
宮益坂に道玄坂。東西ふたつの坂に挟まれた渋谷駅は、名の通り谷底。原宿方面へも勾配を上る。東京メトロ銀座線が、青山方面から水平に進み、高架駅に着くところからも地形がわかる。


台地の上へ駆け上がる(五反田~目黒駅間)
山手線は、当時の重要輸出品だった絹糸を横浜港へ運ぶため、1885年と極めて早い時期に建設された“国策路線”だ。非力な蒸気機関車でも走れるよう、急勾配を避けて設計されている。


岬の先端を大回り(品川~大崎駅間)
大崎は地名のとおり、古代は海に突き出した大きな岬だった。その名残が高級住宅地として知られる御殿山。品川駅を出た山手線は、この“岬”を急カーブで回り込むように線路が敷かれた。


●E235系〔JR東日本〕

山手線は、常に時代の先端技術を取り入れた電車を用い続けている。E235系も例外ではない。
主な運行路線:山手線、横須賀線 運行開始年:2015年
文・写真/土屋武之 写真/マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ イラスト/miltata 協力/東京メトロ
※『サライ』2026年9月号より








