【サクの見極め方】
「色艶がよいもの、形が整ったものを選ぶべし」
サクとは、魚の丸ごと一尾から内臓や血合い(濃い暗赤色の筋肉部分)を取り除き、半身におろしたあと、尻尾部分などを切り分け、販売用に成形したものである。
「鮪などの大型の魚は、サクの形により部位を判別できます。頭に近いサクは長方形、尻尾の付近は三角形をしている。また背骨を境にして、背側か腹側かにより脂の乗りが違います。背側は赤身が多く、腹側は内臓に近いので脂が強くなる。とりわけ鮪などは、筋により食感が大きく左右されます。頭と尾に近い部分の身は、筋が多く固い傾向です」(島津さん)
赤身も白身も弾力あるものを
刺身で食すことを前提にしたサクは、鮮度の見極めも肝要となる。「赤身や脂分の多いトロ、鮃などの白身もすべて色艶がよく、身に透明感があるものがいい。弾力があり、形がだれていないものを選びます」(島津さん)
鰹は鮮度が落ちやすい魚の代表格である。生食する場合は、購入したその日に食べ切るのが理想的だ。皮が剥いである場合は皮ぎわの表面も酸化しやすいので、茶色く濁ったものは避けるのが懸命だ。
サクのここに注目!
1、 色艶がよく、透明感があるか?
2、 全体の形は長方形か三角形か?
3、 筋(すじ)の入り方はどうか?
【鰹のサクの見極めポイント】
サクの高さがあるほど魚体が大きく、脂も乗っている。筋肉質の背側は赤く、脂の多い腹側はやや白みがかっている。
【鮪(中トロ)のサクの見極めポイント】
赤身は発色がいい赤色で、筋が薄いか、ないものを選ぶ。中トロはきれいなピンク色で、筋の線が細く、等間隔のものを選ぶとよい。
【平目のサクの見極めポイント】
白身の高級魚。サクは皮引きされた状態。皮と身の間の皮下脂肪が残っているもの、縁側つきのもの、透明感のあるものがよい。
【切り身の見極め方】
「血合いの色が黒ずんでいないものを選ぶべし」
切り身は、血合いから多様な情報を得ることができる。
「血合いは、酸化すると黒ずみます。鮮やかな赤色であれば、新鮮な証拠です。さらに庖丁で切ると、部位により形も変わります。血合いが三角のきれいな銀杏形だと頭に近く、斜めに大きい場合は尾の付近とわかります」(島津さん)
ただし、切り身は成形の過程で空気に触れざるを得ないのも事実。
「加熱して食べるので、透明感にこだわらなくても大丈夫です。例えば鰆(さわら)は乳白色でも問題ない。くすんでいたり、黄色みがあるものは避けてください」(島津さん)
切り身のココに注目!
1、 血合いの色をチェック。
2、 全体の色がくすんでないか?
【鰆(さわら)の切り身の見極めポイント】
血合いがきれいな三角形で銀杏形のものを選ぶ。これは、大きい鰆の証拠。大きい鰆は脂が乗っている。身割れしていないものがよい。
【鱈(たら)の切り身の見極めポイント】
切り身でも透明感があり、すき通るように白いものがよい。元来、腹の薄い魚なので、腹に栄養を蓄えた肉厚のものを選ぶ。
【鮭(さけ)の切り身の見極めポイント】
腹に厚みがあり、色が鮮やかなものを選ぶ。身に白い脂が入った養殖物は白色部分に濁りがなく、酸化していないものがよい。
【蛸(たこ)の切り身の見極めポイント】
足は太く、吸盤に弾力があり、よく巻き付いているもの、表面に艶があり、乾いていないものがよい。
【鰤(ぶり)の切り身の見極めポイント】
皮近くの右上部分が血合い。きれいな赤色のものを選ぶ。脂の多い腹側の部位は、身がうっすらとピンク色を帯びたものがよい。
※この記事は『サライ』2018年12月号より転載しました。記事中の名称・肩書き等は掲載当時のものです(取材・文/鳥海美奈子 撮影/多賀谷敏雄)