文・写真/編集部
“神様の遊び場”“天然の美術館”などと呼ばれる、青森県の仏ヶ浦(ほとけがうら)は、凝灰岩でできた巨大な“奇岩”が約2キロメートルに渡って続く、大自然による絶景です。
下北半島の北西端に位置し、青森市からでもかなり時間がかかるまさに“秘境”といえるこの場所で、去る5月17日に「下北“ジオ・ダイニング”in 仏ヶ浦」が開催されました。ジオ(大地)・エコ(自然)・ヒト(生活・文化)のつながりを学び、楽しむことができる場所、「ジオパーク」として注目されている下北を代表するこの景勝地で、地元の食材を使った一流の料理を発信しようというイベントです。
最寄りの佐井村からフェリーで30分。仏ヶ浦の奇岩の目の前に、白いテントのダイニングが設営されました。そこで調理をするのは、むつ市のレストランや鮨店の料理人。東京のシェフとともに長期間の準備と試行錯誤を経て、ウニや山ウドなど地元の食材を使った料理を考案。むつ市川内産のぶどうから造られたワイン、むつ市の日本酒などとともに、フルコースで披露されました。
その中からいくつかの料理を紹介しましょう。
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「天然山うどのクランブルスティック」(1280円)は、緑鮮やかなピスタチオをまとった山うどにウニと山うどのソースが添えられました。その味わいは、昆布のような風味も感じられる豊かな旨みを伴うもの。
「昆布〆東通牛と根曲がり竹」(1980円)は、下北半島のブランド牛「東通牛」が大間産の昆布で一晩しめてからカルパッチョにされ、その下に根曲がり竹が添えられ一緒に食す冷菜。
「中トロの蒸し寿司」(2カン1980円)は、大間産のマグロを蒸して熱をかけてから握りにしたものに、鰹出汁と焼き干し出汁を使ったソース餡がかけられています。素材の旨みを存分に感じられる調理法だそうです。
ほかにも、ウニをふんだんに使用した「雲丹コロッケ」(1980円)や「じゃがいもと椎茸のおづけばっと雲丹ボナーラ」(1280円)など、斬新な料理が発表されました。まさにウニ尽くし。
これらの創作料理は、むつ市のレストラン『アグレアーブル』『パザパ』や鮨割烹『東寿し(あずまずし)』で提供される予定です。
下北半島の中心部に位置するむつ市からは、霊場の恐山や作家・井上靖ゆかりの風間浦、下風呂温泉、マグロで有名な大間、仏ヶ浦への定期観光船が出る佐井村など、各地へ足を延ばしやすく、下北観光の拠点となります。
東京から新幹線の場合、八戸に入り、そこから在来線で野辺地経由で下北へ、というルートが、時間はかかりますが、のんびり列車の旅を満喫できオススメです。
一方、北海道からアプローチするという手もあります。空路函館に入り、函館港から津軽海峡フェリーで大間に上陸するのです。フェリーの所要時間は約90分で、意外と近くかんじられます。
今回、このフェリーに乗船しましたが、あいにくの雨模様にもかかわらずほとんど揺れることもなく、テレビも見られて快適。船内にはエスカレーターも設置された豪華なフェリーでした。
下北半島はこれからウニの季節。名物のホタテはもちろん様々な食材が待っています。絶景の仏ヶ浦を見て、大間でマグロを味わい、温泉にも浸かり、むつ市で立派な創作料理に舌鼓。夏の旅先の候補にいかがでしょう。
●ぐるりんしもきた(しもきたTABIあしすと)
青森県むつ市中央一丁目8番1号
電話:0175-31-1270(代表)
https://gururin-shimokita.com/
●仏ヶ浦海上観光
青森県下北郡佐井村字八幡堂28
電話:0175-38-2244
http://www.hotokegaura.jp/
●アグレアーブル
青森県むつ市小川町2-17-1
電話:0175-23-9114
●パザパ
青森県むつ市小川町2-10-1
電話:0175-34-9707
●東寿し
青森県むつ市横迎町1-2-40
電話:0175-22-2031
●津軽海峡フェリー
https://www.tsugarukaikyo.co.jp/
文・写真/編集部