好奇心を維持し続けることが大切
――インドのロケで、健康と体力の維持について真剣に考えた。
その時にたまたま、早稲田大学創立者であり大正時代に2度の総理大臣を務めた大隈重信の「人生125歳説」を知りました。これは、医学博士・野口英世との対談中に示した見解とも言われています。
これは、「人間は適度に節制すれば、125歳まで生きられる」という仮説です。僕はそれが腑に落ちて、125歳まで生きるという目標を掲げ実践しているのです。
――大隈重信は125歳まで生きることを目指し、節制を続け当時としては珍しく83歳で大往生しました。「人生125歳説」に基づけば、還暦の中野くんは、未だ人生の折り返し地点にさえ、到達していない。
そうなんです(笑)。菜食生活を続けることで、現在も健康を保てているとは思いますが、125歳まで生きることを想定すると、お金の備え、人間関係を構築し続けることなど、やることはたくさんあります。
――お金の備えといえば、株式投資の本も出版されています。株式投資を始めるきっかけはなんだったんですか?
今から20年ほど前に、インターネットの株取引が解禁されました。このタイミングで友人から「株投資にまつわる連載を、雑誌でしない?」と誘われたのです。
もともと興味があり、日本経済新聞を購読し始めてはいたものの、投資のテクニックも知識もほとんどありません。当然、誰も教えてくれませんので手探りで始めていくしかない。
20年以上続けていますが、勝敗で言うと大きく負けています。ただ、投資を始めると世の中の見方が変わりますので、仕事にはいい影響があると思っています。
今後の投資については、あきらめないことが大切。125歳まで生きていれば、バブルは再び来ると思っています(笑)。
――やはり長生きするためには、人間関係の構築が大事だと思います。同世代の中には、50歳を越えるくらいになると、新しい人間関係に飛び込むことは苦手と言う人は少なくありません。
私自身は、躊躇せずに新しいサークルに首を突っ込むようにしています。人に会えば、好奇心は刺激され、何かを始めてみようと思いますから。
コロナ禍になって新たに始めたのは、キャンプや薪ストーブ、サウナテントなど。この様子は、公式YouTubeチャンネル『サンプラザ中野くんのサンちゃんねる』で公開しています。
僕はミュージシャンでありながら、楽器ができなかったのでウクレレを始めました。あとは、ノーズフルートという、鼻で吹く笛です。今回発表したミニアルバム『旅人よ~The Longest Journey』の収録曲でも吹いています。
――YouTubeチャンネルを拝見していると、様々なことに取り組む姿と、その濃密で深い内容に見入ってしまいます。
人生100年時代……僕にとっては125年ですが、まだまだ先は長いです。そこには、お互いに応援し合う人々がいる。コロナ禍はまだ続きそうですが、いつかゴールにたどりついたら、みんなで喜び合いたいですね。
取材・文/前川亜紀 撮影/乾 晋也