マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。今回は、部下が目標達成するためにはどうすればよいのか、正しい目標設定の仕方ついて考察します。

早いもので今年ももう6月を迎えます。皆様の部下の成長速度はいかがでしょうか? 4月に入社した新入社員の方や、新しい部署に配属された方がちょうど仕事に慣れ始めた時期かと思います。順調に成長されている部下もいれば、そうでない部下もいらっしゃるかもしれません。この記事では、「仕事に前向きになれない」「既に目標達成をあきらめ始めている」……そういった部下に、上司の皆様がどのように対応をするべきかについて、識学的アプローチをご紹介します。

ゴールまでのプロセスを示した細かい目標設定をする

皆様の部下の目標はどのように設定していますか。皆様の会社によっては皆様自身が決めるのではなく、会社単位で例えば、1年目の営業部員は月100万円が売上目標と決まっているパターンがあるかと思います。その月100万円の目標設定である程度放置していても進んでいく部下もいれば、全く動かない部下もいます。

皆様は全く動かない部下にどのように対応していますか? よくあるパターンとして「売上達成するためにはどうするの?」「何でできないの?」「何が引っかかってる?」……こういったやり取りのみになってしまっていることです。

月100万の達成方法が見えていない部下に、漠然と目標を達成するためには何をするかを確認したとて、走り方が全く見えてないので、部下はただフリーズするだけです。ここは皆様が目標達成の道のりを分解してあげましょう。例えば、営業の場合では売上をあげるまでのプロセスとして下記のような行動があります。

電話→アポイント→面談→提案→受注

最終ゴールは月の受注100万円ですが、部下からするとその道筋が見えていないので、まずはプロセスの数字で部下と約束することが一歩目となります。例えば、下記のような設定です。

(1)月のアポイント30件を目標とする。
(2)月のアポイント30件を実施するためには、部下に何件、架電数が必要か確認する。

この(2)の確認のところで、部下から出てきた架電数が上司の皆様から見ても、「ああ確かに30件の面談をするなら、それくらいの架電数は必要だな」となるならば、部下は面談30件実施の道筋は見えているので、月30件を1週間に分解して(例えば週8件)、今週の目標として走らせれば良いのです。

一方で架電数の回答が部下から明確に出てこない、現実的に不可能な数字が出てくるなどの場合は、部下は30件の面談実施も見えていないということになります。この場合はさらに目標設定するところを手前に(架電数)持ってくる必要があります。例えば、月100件、週20件の架電を目標設定として、「じゃあ架電20件するためにはどうする?」と確認します。ここで明確に回答が出てくれば、今週は架電20件で走らせる。もし、ここでも出てこないようでしたら、架電リスト等の抽出方法などの教育が必要ということになります。

このように最終目標だけを追わせるのではなく、上司である皆様と部下との間で約束する目標は途中のプロセスの数字で約束することによって、部下の迷いを取り除くことができます。

ひとつ注意点としては、最終的な会社の評価が売上月100万円なのであれば、最終評価は売上であることを認識させるためにも、プロセスで約束しながらも月の売上も約束するようにしましょう(例えば、月100万円が到底無理ならば、月50万円で約束する)。そうでないと、部下からすると途中経過でしかない面談30件さえ達成すれば、この上司は自分を評価してくれるという錯覚を招いてしまいます。

進捗を確認する際のポイント

ここまでは、上司の皆様と部下との間で約束する目標についてお伝えしました。次のステップとしてその目標を使った進捗の確認の仕方をお伝えします。

例えば、月の面談30件に向けて週の面談目標8件を約束した場合、結果として面談8件以上実施できたパターンと面談が8件未満に終わってしまった二つのパターンが考えられます。

月の面談が8件以上達成できている場合は、翌週もそのまま走らせます。もしくは週の面談8件がしっかり見えていると判断するならば、少し前進させて提案を週4件などで設定してみても良いかと思います。しっかり達成ができるようになってくれば、最終目標での約束に変えていきます。

ここでの注意点として、提案獲得率とか、成約率とか確率で約束はしないようにすることです。特にまだ力が足りていない部下に対して、確率で約束をしてしまうと確率が下がることを恐れて行動しなくなってしまいます。行動量で約束し、行動を繰り返すことによって確率が上がってくると上司である皆様自身も認識を持つべきです。仮に著しく確率が低い場合は、何かしら問題がある可能性があるので、そのタイミングで例えば提案の仕方などの確認をすると良いかと思います。

逆に面談8件未満だった場合は、下記の事項を会議前に部下にしっかり準備させ会議に臨むようにしてください。

・不足の理由
・不足を埋めるための行動変化
・翌週の約束

不足の理由:なぜ不足が発生したのか。例えば、アポイントは取れていたがお客様に何かしらのトラブルが発生し面談が2件実施できなかったなど

不足を埋めるための行動変化:上記不足を埋めるために今後どのように行動を変化させるか。例えば、面談当日キャンセル避けるために、お客様の業務内容を確認し、突発案件が発生しない時間帯に面談設定する。または面談実施率を80%と想定し面談設定自体を10件として次週以降設定し面談8件を達成するなど。

翌週の約束:翌週までに何をどこまでやるのか。

上記を部下には会議前にしっかり準備した状態で会議に臨ませてください。上司の皆様は会議の中では上記の内容が他責になっていないか、現実的に実施可能かどうかを確認することに注力してください。特に他責の状態(例えば、お客様が面談をすっ飛ばしたので不足になりました)で放置してしまうと、せっかく不足が生まれたのに部下の成長の機会を活用できず非常にもったいないです。お客様が面談に来なかったことは事実ですが、ではそこに対してどうアクションするかを常に部下に考えさせるようにして、部下を自責の状態にすることを会議の目的としてください。

また、翌週の約束も現実的な数字で約束した状態で会議を終わるようにすることも重要です。やりがちなのは、これまでの累計の不足分を最後の1週で取り返します、のような約束をしてしまうパターンです。この状態では上司・部下共に「正直無理だよね」という未達の承認が意識の中で発生していまっているので、未達に終わっても自責にすることはできません。

まとめ

ここまで2つのステップで成長速度の遅い部下へ、皆様がどのように対応すれば良いかをお伝えしました。ある日突然、これまで未達だった部下が目標を達成できるようにはなりません。この記事でご紹介した手法で一歩ずつ部下が進めるように導いてください。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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