会社として絶対に行ってはならない「粉飾決算」。たびたびニュースなどで報道されるこの言葉ですが、概要や起こる理由などをご存じでしょうか? マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp/)」から、「粉飾決算」についての理解を深めましょう。

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「粉飾決算」という言葉がニュースやメディアで流れることがあります。その際に取り上げられるのは上場企業ばかりなので、「中小企業は関係ない」と考えていませんか?

しかし、実際はどのような企業においても粉飾決算が生じる可能性があるため、粉飾決算がどのようなものか正しく把握しておかなければなりません。

そこで本記事では、粉飾決算について、

・概要や手法
・行われる目的や背景
・見抜く方法や罰則
・起こさないためのポイント

などを解説していきます。

粉飾決算とは

粉飾決算とは、実際は赤字決算であるにもかかわらず、それを不正会計によって黒字決算に偽装することです。

一般的に、企業が利益を上げた際はその利益に税金が課せられます。しかし、赤字決算の場合は利益がないため税金が課されません。

では、なぜわざわざ納税してまで黒字決算に偽装するのでしょうか?

粉飾決算が行われる目的や背景とは

ここでは、企業が納税をしてまで粉飾決算をする目的や背景を解説していきます。

上場企業と中小企業とでは、事情が異なるため別々に見ていきましょう。

上場企業の場合

企業には株主や銀行、取引先といった利害関係者(ステークホルダー)が存在します。そして、上場企業の場合、取引の規模も大きくなるため利害関係者も膨大です。

また、資金の調達先である銀行や株主は、企業にとっては無くてはならない存在です。

しかし、そうした利害関係者が資金を提供してくれるのは、自社に「信用」があるからにほかなりません。

つまり、極端に言えば黒字決算だからこそ信用してくれているのであり、赤字決算となれば信用を失う可能性があります。

これを避けるために企業は粉飾決算をするのです。

しかし、粉飾決算こそ信用を失墜させる行為であるため、絶対に行うべきではありません。

中小企業の場合

中小企業の場合、株主によるプレッシャーは上場企業に比べると少ないでしょう。

しかし、中小企業が気にするのは銀行からのプレッシャーです。なぜなら、中小企業は上場企業とは異なり、資金の調達先が限定されているからです。企業によっては資金の多くを銀行に頼っているケースも少なくありません。

会社の経営状態が悪化すると銀行からの借り入れが難しくなるため、中小企業は税金を課されてでも粉飾決算をしてしまうのです。

粉飾決算の手法・手口とは

粉飾決算はどのように行われているのでしょうか?

ここでは、粉飾決算について理解を深めるために、その手法・手口を解説していきますが、絶対に行なってはいけません。

売上を過大計上する

企業を評価する際に、各期の売上がどれほどだったのかは重要な指標になります。

そこで企業は売上を過大に計上することで、実際にはない売上を偽装することがあるのです。

例えば、2つの取引先から下記のように売上が計上されたとします。

会社A:80万円
会社B:120万円

しかし、費用が300万円かかってしまったため、100万円の赤字になってしまいました。

このままでは融資を受けることが難しくなるので、下記のように実際には存在しない架空の売上を偽装します。

会社C:180万円

これにより、80万円の黒字となり、融資を受けやすくなるのです。

なお、売上が発生すると必ず現金、あるいは売掛金などが貸借対照表に発生します。そのため、上記の処理を行うと現金過不足、あるいは架空の回収不能の売掛金が滞留することになります。

経費を減らす

経費として計上しなければならないものを計上するタイミングを引き伸ばすことで、粉飾決算をするケースもあります。

例えば、今期に計上するべき経費を来期に計上を延期することで利益を増やせます。

ただし、上記の場合は売上に占める経費の割合が異常値を示すなど、経費率への影響は避けることはできません。

逆粉飾決算とは

逆粉飾決算とは、利益が少なく見えるように偽装する行為で、その目的は主に「税金逃れ」です。

その手法としては下記のようなものが挙げられます。

売上を隠す

売上を隠せばその分だけ利益を減らすことができます。

具体的には、売上を計上せずに翌年に繰り越したり、売上そのものを無かったことにしたり、架空の返品処理を行うなど、さまざまな手法があります。

経費の水増し

経費を増やすことで利益を減らすケースも少なくありません。

例えば、仕入れる商品の原価を高く設定したり、アルバイトの給与に支払う人件費を水増しすることがあります。

また、子会社から架空の仕入れを計上する手口もあります。

粉飾決算の罰則とは

粉飾決算は明確な犯罪であり、罰則が設けられています。

ここでは、どのような罰則があるのかを見ていきましょう。

刑事責任

まずは刑事上の責任を解説していきます。

詐欺罪
融資を受けるために粉飾決算を行うと詐欺罪となり、10年以下の懲役が科されます。

違法配当罪
粉飾決算によって本来は不可能な金額の配当を行うと、違法配当罪(会社法違反)となり5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。

特別背任罪
そして、取締役などの役員が利益を得るために粉飾決算を行い、会社に損害を与えた場合は特別背任罪となり、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくは併科となります。

民事責任

続いて民事責任を見ていきましょう。

取締役など役員が有価証券報告書などを偽装して、有価証券を取得した者に損害を与えると、損害賠償責任を負います。

また他にも、

役員等の株式会社に対する損害賠償(会社法423条)
役員等の第三者に対する損害賠償責任(会社法429条)

などがあります。

まとめ:粉飾決算は信頼を失う行為

会社経営は困難の連続です。経営をしていれば、資金繰りが苦しい、あるいは資金調達がうまくいかない。そんな場面に遭遇することでしょう。

しかし、粉飾決算をしたからといって、必ずしも借入ができるとは限りません。銀行側もシステムで損益計算書、貸借対照表を確認し、異常値があれば人の目で確認するといった対応をとっています。

融資を通すために粉飾決算は、リスクが高いことなのです。一度で信頼を失う恐れがある粉飾決算は、絶対に避けるべき行為といえるでしょう。

【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学内にある、コンテンツを企画・制作する編集部です。 『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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