文・写真/杉﨑行恭

超低空の大型ジェットを真下から見られる“アンダージェットスポット”。前回の記事では大坂・千里川土手のスポットを紹介したが、日本最大の空港・東京国際空港でも、アンダージェット体験ができる。

もちろんこの空港の滑走路は海に面しているので、地上からのアプローチはできない。アプローチは海からだ。

ぷかりさん橋

毎週日曜日限定で運行される、横浜港発の『羽田クルーズ定期便』に乗った。これはRESERVED CRUISEが運行する、横浜ぷかり桟橋〜羽田空港船着場〜お台場海浜公園までの航路で、1日1往復の沿岸航路だ。

朝10時30分にみなとみらい地区の横浜ぷかりさん橋を出港した50人乗りのジェットセイラー号は、京浜工業地帯の巨大工場街を望む京浜運河を通り、羽田空港まで進む。

途中では、一般客は駅から出られないことで有名な鶴見線の終着駅「海芝浦」駅を海から見たり、煙突から炎を吹き出す川崎の石油コンビナートを近くから眺めたりと、おまけたっぷりのクルーズだった。

みなとみらい地区

海芝浦駅

煙突から炎を吹き出すコンビナート

そして京浜運河から多摩川河口に出ると、目の前に羽田空港の、沖合移転したD滑走路が見えてきた。すでに上空には旅客機が飛び交っている。

クルーズボートの船内では「これからA滑走路の末端でしばらく着陸シーンを真下からご覧になれます」とのアナウンスが流れる。そして、干潮時には干潟になるという多摩川河口をさかのぼり、海中に突き出した誘導灯の近くで停泊する。

羽田のA滑走路には、太陽を背に次々にジェット旅客機がアプローチしてくる、船内では接近するエアラインと機種をパソコンで確認しながら事前にアナウンス。

見晴らし抜群のデッキでは、乗客たちが歓声をあげながら撮影する。

20分ほどの間に5~6機がアタマの上を通過した。

そして私達を乗せたジェットセイラー号は国際線ターミナルが見える羽田空港船着場に接岸した。

所要時間90分、アンダージェットと工業地帯の風景を満喫できる最高のクルージング体験だった。

ジェットセイラー号クルー

【羽田クルーズ定期便】 
出発地/横浜ぷかりさん橋(みなとみらい駅から徒歩約5分)
出港日時/毎日曜10時30分出港(干潮日運休あり)
料金/片道2500円(税込)
羽田空港までの所要時間/90分

問い合わせ/リザーブドクルーズ(電話 045−290−8377、平日10時~18時)
http://www.reservedcruise.com/

文・写真/杉﨑行恭
乗り物ジャンルのフォトライターとして時刻表や旅行雑誌を中心に活動。『百駅停車』(新潮社)『絶滅危惧駅舎』(二見書房)『異形のステーション』(交通新聞社)など駅関連の著作多数。

 

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