マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、成果に結び付く働き方について識学の視点から考察します。

頑張るあなたへ:その努力、本当に報われていますか?

「上司に認められたい」「デキるヤツだと思われたい」――そう思って日々努力しているあなたは、本当に素晴らしいビジネスパーソンです。誰もが、自分の評価を高めたいと願っています。

・「気が利く自分」でいたい。
・「積極性がある」と評価されたい。
・上司の「意図を先回りして」くみ取れる人間になりたい。

そして、会社組織においては、自分の評価を決める「上司の期待に応える」ことが、最も有効な手段だと信じがちです。

ですが、ここで立ち止まって考えてみてください。

あなたが上司の「期待」に応えようと捧げた、その時間、そのエネルギー、その心理的な負担……。それらは本当に、あなた自身の成長や、会社の成果に直結しているでしょうか?

残念ながら、あなたの「上司の期待に応えよう」という純粋な努力の9割は、非効率でムダに終わっている可能性が高いのです。

なぜ、あなたの頑張りが空回りしてしまうのか。そのメカニズムと、そこから抜け出し、最小限の努力で最大の成果を出すための思考法を、これから詳しく解説していきます。

努力が報われない真犯人:上司の「期待」の曖昧さ

会社組織で働く上で、上司の指示に従うことは当然必要なことです。それは何も間違っていません。しかし、あなたの努力をムダにしている真犯人は、「指示」ではなく、「期待」という言葉が持つ曖昧さにあります。

上司の「期待」に応えようと張り切る姿勢は評価されがちですが、その「期待」が具体的に言語化されていない、あるいは数字や定義で示されていないとき、あなたの頑張りは途端に空回りし始めます。

例えば、このような「曖昧な期待」に心当たりはありませんか?

「もっと積極的に動いてほしい」
「言われなくても、これくらいやってくれると思っていた」
「なんか違うんだよな、私の意図と」

上司の期待が、「役割と成果」という明確な組織のルールではなく、上司個人の「感情」「好み」「直感」「その日の機嫌」といった個人的な曖昧な要素に根ざしているとき、部下の努力は「徒労」に変わってしまうのです。

私たちが提唱する「識学」では、この曖昧な期待を追いかける行為を「無駄働き」と呼びます。そして、この「無駄働き」こそが、あなた個人にとっても組織全体にとっても、最も避けなければならないリスクなのです。

無駄な働きが組織に生む、4つの深刻な弊害

曖昧な「期待」を追うことが、あなた個人だけでなく、組織全体にどれほどの悪影響を及ぼすかを見ていきましょう。あなたの部署の生産性が上がらない原因は、この「期待のズレ」にあるかもしれません。

1.「全力で無駄働き」を生む責任の曖昧化

上司の期待が言葉にされていない場合、部下は「たぶん、上司はこうしてほしいんだろう」と自己解釈に基づいて行動するしかありません。

・責任の曖昧化: 結果が出なかったとき、「上司の指示が不明確だったせい」なのか、「部下の努力が足りなかったせい」なのか、責任の所在が曖昧になります。組織が次の行動を改善できなくなります。

・無駄な努力: 部下の自己解釈が、会社が本来求める成果とズレていれば、あなたは時間とエネルギーを費やしたにもかかわらず、「全力で無駄働き」をしたことになります。これでは、どんなに頑張っても報われません。

2.成果追求から「忖度」へのエネルギー浪費

曖昧な期待を追い始めると、部下の関心は恐ろしいほどにシフトします。本来の関心は、「どうすれば最高の成果が出るか?」であるべきです。

しかし、変化後の関心は、「どうすれば上司の機嫌が良くなるか?」になってしまいます。

成果を出すために使うべき貴重な時間やエネルギーは、上司の顔色を伺い、先回りする「忖度」という名の見えない仕事に浪費されます。

結果、本来集中すべき業務がおろそかになり、組織全体の生産性が低下し、最も重要な「成果」が二の次になってしまうのです。

3.ゴールのないマラソン:モチベーションの低下と疲弊

感情的な「期待」を追いかける行為は、心理的なストレスが非常に大きく、部下のモチベーションを激しく消耗させます。

・終わりのない追求: 「期待」は感情に基づくため、達成基準が明確でなく、「どこまでやれば達成なのか」が際限なく曖昧になります。明確なゴールが示されないまま、あなたは「ゴールのないマラソン」を延々と走らされているような状態になるのです。

・努力の全否定: 一生懸命頑張ったにもかかわらず、上司の気分や個人的な好悪によって「いや、それは違う」と否定されたとき、部下は努力そのものを否定されたと感じます。この徒労感や疲弊は、離職やパフォーマンスの急激な低下につながりかねません。

4.組織の骨格を破壊する「免責領域」の発生

識学では、会社が健全に機能するための大原則として、「責任」と「権限」は必ずセットであり、一致していなければならないと考えます。上司の「期待」がこの構造を崩壊させます。

・責任範囲の逸脱: 上司の期待に応えようとするあまり、部下が本来の役割や権限を超えた行動(他部署の業務に口を出すなど)をしてしまい、組織図で定められた責任範囲が崩壊します。

・言い訳の発生(免責): 逆に、上司が期待を盾にして、責任だけを負わせて権限を与えない場合、「責任はあるが権限がない領域」という「免責」を発生させてしまいます。部下が結果を出せなくても、「権限がなかったから」という言い訳が成立しやすい、組織にとって極めて危険な環境が生まれてしまうのです。

頑張りを成果に変える思考法:役割責任への集中

では、私たちはどうすればこの「無駄働き」の呪縛から解放され、自身の頑張りを正しく成果へとつなげることができるのでしょうか?

それは、上司の「感情」ではなく、組織の「構造(ルール)」に基づいた行動に、意識を徹底的に集中させることです。

1.あなたの仕事は「感情」ではなく「成果」だと割り切る

まず、あなた自身の意識を変えることが大切です。あなたの仕事は、上司の気持ちを察し、機嫌を取ることではありません。

あなたの仕事とは、「与えられた役割(ポジション)で、定義された結果(成果)を出すこと」です。

・上位者(上司)の責任: 上司は、感情や意図ではなく、部下の「役割」と、それによって達成すべき「成果の定義」を明確に定め、言語化して伝達する責任があります。

・部下の集中: 部下は、上司の定義した役割責任と成果にのみ集中すると割り切り、それ以外の曖昧な「期待」を追わないと決めることです。

曖昧な期待を追いかけるのをやめたとき、あなたは自分の役割達成という本来のミッションに、エネルギーの全てを注げるようになります。

2.報告の徹底:「判断」は上司に委ねる

部下の役割責任を全うする上で最も重要な行動の一つが、正確かつタイムリーな報告です。

報告の目的を明確にしましょう。
・それは「忖度」や「相談」ではありません。
・それは、上司が組織として責任を持った「判断」を下すための材料を提供することです。

部下は、自分の役割と責任の範囲内で行動し、判断に迷う場面では、自己解釈に基づいて行動を決定するのではなく、状況を上司に正確に伝え、上司の判断を仰ぎます。

こうすることで、結果がどうであれ、行動の決定責任は上司にあり、部下は免責されます(上司の判断を仰いだにもかかわらず、上司の指示に従った結果であれば、部下の責任は問われません)。これにより、部下は「判断ミスを恐れる」ことなく、萎縮せず、役割達成に必要な行動に専念できるようになるのです。

3. 「やる気」と「行動」を分離する

上司の「機嫌」やあなた自身の「やる気」といった感情論に、仕事の品質や量を左右されてはいけません。

識学では、「モチベーションは上げると必ず下がるもの」と捉え、やる気一つで仕事の品質が変わってしまう状況を最も警戒します。

・あなたの気分や上司の機嫌がどうであろうと、あなたがやるべきことは一つ。
・定められた役割責任を果たすための行動を、淡々と実行すること。

上司の期待に応えたいというあなたの「感情」は素晴らしいものですが、組織における行動規範の基準は、あくまで「成果」におくべきなのです。感情と行動を分離することで、あなたはノイズから解放され、パフォーマンスを一定に保つことができるようになります。

最後に:最短距離で報われる働き方へ

「上司の期待に応えたい」と思うあなたの気持ちは、非常に尊いものです。しかし、「期待」という曖昧な言葉が、あなたが本来果たすべき役割責任を曖昧にし、迷いを生む最大の阻害要因となっているリスクを、私たちは明確に認識する必要があります。

今日から、あなたの頑張りが報われる働き方に変えていきましょう。
成果を出すための最短距離とは、このシンプルなサイクルの徹底です。

1.役割責任を明確に認識する。
2.その責任を果たすための行動を明確に決めて実行する。
3.途中で見つかった課題を、上司に正確に報告し、判断を仰ぐ。
4.上司の判断に基づき、次の行動と結果を約束し、実行する。

この行動の徹底こそが、あなたが「無駄働き」という消耗から解放され、組織全体としての成果最大化に貢献できる、最も早く、最も報われる道なのです。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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