歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして……。うっかり漢字の読み⽅なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の⽅は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて⾔い訳をするようでは、沽券に関わる?
「脳トレ漢字」今回は、「強面」をご紹介します。どんな意味かを想像しながら漢字への造詣を深めてみてください。

「強面」は何と読む?
「強面」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「こわもて」です。
「きょうめん」や「つよづら」と読んでしまいそうですが「こわもて」が定着した慣用読みで、辞書にもこの読みで掲載されています。『小学館デジタル大辞泉』では「こわい顔つきで他人をおびやかすこと。相手に対して強い態度に出ること」とあります。「あの人は強面だから、少し話しにくい」といった形で使われますね。
「強面」の由来
では、なぜ「強面」を「こわもて」と読むのでしょうか。「こわ」という音は、もともと「硬い」「強い」という意味を持つ古い言葉「強し(こわし)」に由来します。私たちが秋の味覚として楽しむ、もち米などで作るご飯のことを「おこわ」と言いますが、これも同じ語源から来ています。また、緊張で表情が硬くなることを「強張る(こわばる)」と言いますね。このことからも、「こわ」が単なる物理的な強さだけでなく、張り詰めたような力強さを表すニュアンスを持っていることが分かります。
そして「面」は「顔」そのものを意味する漢字で、「面目」「正面」「一面」など、顔や表側を表す熟語に多く使われますね。「おもて」とも読むことから、もともとは「こわおもて」と読んでいたものが「こわもて」に変化したのです。

「強面」の奥にあるもの
最近では「強面」という言葉がポジティブな文脈で使われることも増えてきました。
「見た目は強面だけれど、実は心優しい」というギャップを表現する際に、この言葉がよく登場します。俳優さんが強面のキャラクターを演じながらも、インタビューでは穏やかな人柄を見せる場面などで「ギャップ萌え」として話題になることも少なくありません。
また、動物の世界でも「強面」は人気のキーワードです。怖そうな顔つきの猫や犬が、実はとても甘えん坊だったりすると、SNSで大きな反響を呼びます。見た目の印象と中身が異なることへの親しみやすさが、人々の心を惹きつけるのかもしれません。
ビジネスの場面でも、強面の上司が部下思いだったり、交渉の場で強面を武器に有利に進めたりと、さまざまな使われ方をしています。
***
いかがでしたか? 今回の「強面」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 人は見かけによらないもの。強面の方に出会ったら、その内面にも目を向けてみると、意外な発見があるかもしれませんね。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











