取材・文/ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。
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株式会社Clamppyでは、「嫁姑問題に関する意識調査」(実施日:2025年2月18日~3月1日、有効回答数:嫁姑問題を抱えている全国の既婚女性327人、インターネット調査)を実施。同調査にて、嫁姑問題の原因を聞いたところ、最も多かったのは「姑と性格が合わない(15.5%)」だった。次いで「コミュニケーションがうまく取れない(15.4%)」、「育児・教育方針に口出ししてくる(10.1%)」と続いた。さらに、嫁姑問題に関して夫が理解しているかを調査したところ、夫が嫁姑問題を「知っている(37.5%)」、「おそらく知っている(34.9%)」と妻の約7割が夫は問題を認識していたと回答したものの、「知らない」と答えた妻が7.2%、「おそらく知らない」と答えた妻が20.5%という結果になった。
今回お話を伺った靖子さん(仮名・43歳)は、嫁姑問題で両親が離婚している。
離婚した後のほうが家族は仲良くなった
靖子さんは両親と4歳上の兄との4人家族。小さい頃の両親は仲良くもなかったが、揉めているようにも見えなかったという。しかし、靖子さんが中学校を卒業するのを待って離婚。父親だけが家を出て行き、靖子さんは母親と兄と一緒にそのまま同じ家で暮らし続けた。違ったのは父親がいなくなったことだけだった。
「両親が表立ってケンカしている様子は見た記憶はありません。ただ、父親は深夜に帰ってくることばかりで、私たち3人とあまり顔を合わせていなかったんです。それに私は中学生のときは反抗期ということもあって、家のことにあまり関心がなく気づけなかったのかもしれません。
親から離婚すると聞かされたのは、私の受験が終わった後の週末でした。離婚を告げられたことよりも、このままこの家でお母さんと暮らせるということにホッとした記憶が残っています」
母親は靖子さんが小学生の高学年のときに仕事に復帰し、近隣の方との付き合いも盛んなタイプだった。それもあってか、離婚したときも周囲から注目されることも少なかったという。
「当時は周囲にそこまで離婚している親世代の人がいなかったので、悪目立ちしてしまうんじゃないかって思っていたんですが、母親はご近所付き合いも上手にしていて、好奇な目で見られることはありませんでした。それに母親は正社員で働いていて、父親からの養育費もあったでしょうが、お金で苦労することも一切ありませんでした」
さらには、離婚後のほうが4人で食事をするなど集まる機会が定期的に設けられたこともあり、父親と会話をする機会は増えたという。
「当時、私は高校生になり、兄は大学生で、一緒に暮らしていた頃からもう何年も父親と出かけたことなんてなかったのに、面会交流でいきなり2人で会うのはハードルが高かった。なので、最初は父と兄と私の3人で食事を月に1回ほどのペースでするようになりました。私も兄も父に会いたいというよりも、会いたいと父が言うのであれば拒否するのはかわいそうという気持ちでした。3人で何度か食事を続けていくと、なぜか母親も参加するようになって、4人で会うようになったんです。一緒に暮らしていた頃は4人で外食することなんて全然なかったのに。兄もお酒が飲める年齢になると、家族での定期的な飲み会みたいな感じになっていき、私も居酒屋の雰囲気が好きだったので楽しみにしていました」
【母親に恋人ができても、父親との友人関係は続いていた。次ページに続きます】
