取材・文/ふじのあやこ

日本では婚姻届を役所に提出し、受理されると夫婦と認められる。夫婦となり、パートナーのことを家族だと受け入れられるものの、パートナーの両親やきょうだい、連れ子などを含め、「みんなと家族になった」とすんなり受け入れられる人もいれば、違和感を持つ人もいるという。また、ずっと家族として生活していたものの、分かり合えない関係のまま離れてしまった人もいる。家族について戸惑った経験がある人たちに、家族だと改めて感じられたきっかけを聞いた。
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ペット保険「PS保険」を提供するペットメディカルサポート株式会社では、「ペットロス」に関する実態の調査(実施日:2025年5月9日、有効回答数:全国の20~69歳の犬や猫の飼い主1857人(有効回答数400)、インターネット調査)を実施。調査にて、ペットロスを経験したことがあるかを聞いたところ、「はい」と回答したのは62.0%となった。次いで、ペットロスを経験した犬や猫の飼い主に主な症状について聞いたところ、「悲しみや喪失感」(85.5%)が最多となり、「無力感や後悔」(34.3%)、「感情の不安定」(29.0%)、「罪悪感や後悔」(27.0%)と続いた。
今回お話を伺った里香さん(仮名・43歳)は数か月前に12年連れ添った猫とお別れをしていた。その痛みを和らげてくれたのは、家族だったという。
子持ちバツイチの男性と35歳のときに結婚
里香さんは仲良しの両親の元で育ち結婚願望があったというが、それは20代半ばでなくなっていた。その理由は病気だった。
「子宮の病気を患って、100%ではないものの妊娠の可能性が少なくなりました。だから、子どもの望みが少ないのであれば、無理に結婚する必要はないかなって思っていたんです。付き合った男性にそのことを言わなければいけないのも嫌で、付き合うとなったときには結婚願望がない旨を伝えて、それでもいいと言ってくれた人としか付き合っていませんでした」
そんな里香さんだったが、35歳のときに結婚する。相手はバツイチで別れた元妻と暮らす子どもが1人いた。彼には素直に子どもができにくいことを伝えることができ、相手はそれを受け入れてくれたという。
「年齢は3歳上で、結婚したときは7歳の子どもがいました。多くの人は一緒に暮らしていないにしても子持ち男性との結婚は敬遠すると思いますが、私には結婚する相手に子どもがいるほうが良かった。私が産めなくても、この人の子孫はもういるから大丈夫と思えるからです。養育費の問題も、私も働けば大した問題ではないと思っていました。
もちろん、夫が好きだから、自分を選んでくれたから結婚したいという気持ちもありましたよ。私の大切な家族である猫も夫にめちゃくちゃ懐いていて、それも決め手の1つになりました」
里香さんの両親も、心配こそしたが結婚に反対することはなかったという。それには里香さんがずっと「結婚はしない」と言い続けていた影響もあったのかもしれない。
「両親は結婚には喜んでくれました。私は病気になったときからずっと結婚しないと言い続けてきたことから、両親も結婚しろと私にはまったく言ってこなかったんです。付き合った男性も今まで1人も会わせたことがなかったのに、いきなり結婚相手ですからね。別居中の子どもの話も結婚の挨拶のときにして、驚いていましたが受け入れてくれました」
【別居の子どもと会う頻度はどんどん増えていった。次ページに続きます】
