インタビュー・構成・文/柿川鮎子

特別な日には大好きな家族と、美味しいものを食べたい……。誰もが願うことのひとつだろう。愛犬の飼い主さんにとっても、同じこと。すでに多くの飼い主さんにとって、愛犬に「餌を与える」という意識は薄くなり、「愛犬の身体によい食事を美味しく食べてもらいたい」と考える人が、一般的となっている。

特にクリスマスには、愛犬も人と同じように、美味しく食事を楽しめたら、と願うはず。今回はひびき動物病院院長の岡田響先生に、クリスマスを楽しむ愛犬の食事についてのヒントを教えてもらった。

うちの愛犬と食事がしたいと思ったら

人と愛犬は食べ物が異なるのは当然ではあっても、クリスマスぐらいは一緒に美味しいものを食べたいと思う人は多いだろう。こうした意識や考え方はやはり間違っているのだろうか。岡田先生は飼い主さんの気持ちに寄り添って、「間違いではないですよ。むしろそういう方が多いかもしれませんね」と理解を示してくれた。

岡田先生も「愛犬と一緒にクリスマスを楽しみたいというのは理解できますし、健康を損ねない上で、愛犬が喜ぶのであれば、ぜひやってみたい気持ちはよくわかります」とのこと。

「一昨年、はじめてバイオフィリア社のココグルメの手作りブッシュドノエルを動物病院のスタッフとともに体験しました。クリスマスという特別な日に、愛犬がいつもと違う食事を楽しむ姿を見ていると、日常生活ではできないような親密さが生まれ、絆を深めることができました。

年末年始は動物病院も忙しい時期なので、時間をつくるのが大変でしたが、素材は良かったし、見た目もかわいらしく、愛犬のディナーを仕上げる時は愛犬に何かしてあげたい、愛犬と何かしたいという気持ちが満たされて、とても気分があがるものでした。ですから、愛犬とクリスマスディナーを楽しみたいという気持ちはとてもよくわかるのです」(岡田先生)。

クリスマスやお正月に増えるペットの誤食事故

岡田先生はクリスマスディナーを楽しむ体験に理解を示してくれたが、飼い主さんに知っておいて欲しい点もあると言う。

「家族の一員である愛犬と美味しく食事をしたいと考える人がいて当然だと思います。ただし、人と犬では食性が異なります。飼い主さんにとって美味しいご馳走でも愛犬にとっては毒になる食べ物は意外とたくさんあります。その点をきちんと押さえておくのが基本です。

ほんの一例ですが、玉ねぎ料理は加熱してもダメージは変わりません。ハンバーグやコンソメスープに入っている場合もあるので、愛犬には要注意です。チョコレートやキシリトール入りのお菓子もNGで、フルーツではブドウ、レーズンがNG食品です」と、愛犬の安心・安全を第一に考えようと呼びかけている。

さらに、愛犬にとって「クリスマスやお正月だから美味しい食べ物が食べられる」と理解してもらうのは難しいこと。そして、美味しい匂いと食べ物の記憶は強く結びつく傾向があるため、食べてほしくない食べ物を誤食する危険性には注意したほうがいいとアドバイスしてくれた。

「特にクリスマスやお正月の頃は、動物病院では誤食のトラブルが増える時期でもあります。せっかくのクリスマスが不運な事故で台無し、というのがないようにお願いしたいです」と岡田先生。

特に治療中の愛犬には与える食事に配慮する必要があると岡田先生は言う。「いつもは病気のための食事だけれど、せっかくのクリスマスだからといつもと違う食事にした結果、具合が悪くなってしまったという事例も意外と多いもの。病気治療中の愛犬には、特にいつもと違う食事に注意が必要です」。

総合栄養食のフードが基本の食事に

さらにいつも与えているペットフードについてもアドバイスしてくれた。「まずは大前提として、愛犬には専用のペットフードだけしか与えちゃダメ! ということはありません。ペットフードはメーカーによっては栄養学的に様々な研究も実施され、積み重ねられた研究結果を基に作られているものもあります。私たち獣医師は科学者的な分析の目を持ちますので、こういう情報がそろっているペットフードを利用することが多いかもしれません。

そして、ペットフードには、愛犬の健康を保つために必要な栄養をバランスよく含んでいる『総合栄養食』と表記できるフードの基準があります。

通常の食事としてそのフードだけ食べ続けていれば大丈夫という判断ができるものになっていて、アメリカの基準であるAAFCO(米国飼料検査官協会)などの栄養基準を参考にしているものが多いそうです。ココグルメのフードもこの『総合栄養食』なので、それだけで必要な栄養素が摂取できるようになっています。

忙しい日常の中で、食事は絶対に欠かせない毎日のお世話のひとつです。愛犬の1食にかける時間も、長い目で見れば多くの時間を費やします。手作りするとなるとバランスも乱れやすい傾向があるため、私は手作りする飼い主さんには、不足しそうな栄養を補うつもりで、フードを少しまぜておいてねとお願いしています。

たまにある事例ですが、飼い主さん自身は一生懸命手作りしているのですが、何かしらの素材が重なってしまうのか、知らないうちに多少の栄養が偏ってしまうことが散見されます。血液検査で異常が発見されたり、皮膚や消化器のトラブルになっていることもあります。

そう考えると、ココグルメのように手作り食で基準も満たすバランスのいい商品は、安全が担保されて安心できるので、良いアイテムになりそうですよね」と、岡田先生は教えてくれた。

人の食品のレベルを満たす安全・品質基準

バイオフィリア社のココグルメのホリデーセットはフレンチのシェフも監修に加わった特別食で、クリスマスのお肉とケーキとココグルメがセットになり、飼い主さんと愛犬が一緒に食べられる商品である。

「バイオフィリアさんの安全・品質基準は、ペットフードのレベルではなく、飼い主さん用です。多分、ホームセンターやペットショップに売っているクリスマス商品とは大きな違いだと思います。バイオフィリアさんの場合、工場での製造工程においても、食品製造時に他の食材が混ざらないよう対策をしているので、安心でしょう。

今回はフレンチシェフがセットの一部レシピを開発したこともあり、メーカーとしてもよほどのチャレンジ精神がないと踏み込めない領域だと私は思いました。こういう風に愛犬の食事のレベルが上がってくれるのはとてもありがたいことなのです。

日本ではペットフードに関して、総合栄養食以外のおやつなどは、残念ながらある程度の基準しか定められていません。それに対して、飼い主さんの『食品』レベルの基準を満たすというのがどれだけハードルの高いものなのか、想像できるでしょう。

逆に、裏を返せばこれって与えても大丈夫? というレベルのペットの食品があるということなんです。飼い主さんが選択する時は、信頼できる商品なのか? 正しく製造された商品であるか? をよく考えて選んであげてほしいですね」と岡田先生。

フレンチのシェフがソースにこだわったホリデーセット(本年分の予約は終了)

岡田先生が一昨年利用したココグルメのクリスマスキット、今年はローストポークとそのソースであるコンソメドゥーブル黒トリュフ入りが(ヒト用とペット用の)2袋、そして福岡県産あまおうを利用したイチゴのムースケーキにココグルメ1袋が入ったセットになっている。

主菜は飼い主さんと愛犬が一緒に食べられる宮崎県産霧島黒豚。飼い主さん用も愛犬用もこのジューシーなローストポークにフレンチのシェフ・吉田能さんが監修したソースを加えて食べることができる。

吉田シェフは白金台のレストラン「CIRPAS」がオープンした2022年から、ミシュランのセレクテッドレストランに選出されている実力派シェフ。フレンチのソースは料理の完成度やシェフの技術を示すとも言われる重要なものだが、今回のソースは肉や香味野菜をふんだんに使い長時間かけて煮込んで、さらにその工程を2回も繰り返してより味を凝縮させるなど、手間をかけた。食通の飼い主さんにも満足できる味に仕上がっている。もちろん、ペットが食べないほうがいい材料は入っていない。

岡田先生は、「愛犬と飼い主さんが一緒に食べることができる特別感がありますね。おいしくてたくさん食べてしまいそうですが、愛犬の健康のためには適量を守って食べてほしいです。

今回はシニアの愛犬でも食べることができるよう、ムースタイプのケーキになっていますが、シニアの子は特に高脂肪には要注意な時があるので、念のため、かかりつけの獣医さんと相談しておけば安心かもしれませんね」と教えてくれた。

福岡県産あまおうを利用したイチゴのムースケーキ

クリスマスケーキの適量とクリスマスに多い危険事例

岡田先生はクリスマスになると、飼い主さんから、「どれくらいの量までなら、ペット用ケーキを与えられますか?」と聞かれることが増えると言う。しかし、量に関しては、それぞれ商品の内容が異なり、愛犬の体重もそれぞれ違うので、一概に伝えにくいとのこと。

「一つ言えるのは、オーバーすればトラブルが待っています。それを調整できるのは飼い主さんだけなのです。あくまでも参考程度でありますが、カロリーで見たり、脂肪の含有量で見たり、人間用の量と体重から照らし合わせて比率で見たり、一番少ない上限量を採用しておくのが無難です」と教えてくれた。

さらに、病気治療中の愛犬の場合は、いつもと違う食事を与える時には注意が必要だ。何らかの薬を飲んでいるようなら、かかりつけの獣医さんに相談してから与えたほうが安心である。

最後に、クリスマスに実際に動物病院で治療した愛犬の事例では、チキンを骨ごと丸呑みした子や、お肉料理の玉ねぎを食べてしまった事例が多いとか。

焼き鳥などの串ものを丸呑みしたり、ケーキをフォークごと丸呑みしたり、ケーキの装飾品を丸呑みした場合は、手術が必要になることも多い。また、高齢犬が脂肪分の摂取しすぎで翌日に嘔吐下痢をくり返し、膵炎で入院してしまった事例もある。どれも事前に注意すれば防げる事故なので、どうか飼い主さんも気を付けて、楽しく記憶に残るクリスマスにしてもらいたい。

取材協力/岡田響さん(ひびき動物病院院長)
神奈川県横浜市磯子区洋光台6丁目2−17 南洋光ビル1F
電話:045-832-0390 http://www.hibiki-ah.com/

ココグルメスペシャルホリデーセットの詳細は https://coco-gourmet.com/cart/forms/holidayset2024?utm_source=media&utm_medium=article&utm_campaign=holidayt2024&utm_content=serai
注:今年の予約は締め切りました。

取材・文/柿川鮎子 明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

 

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