引退を機に、これまでの仕事のストレスがなくなると、健康度が格段に上がるといいます。
健康意識を高めるのは、引退後の生活を充実させるために重要なこと。全てが自由になる引退後の生活では、健康管理を組み込んだ新しいライフスタイルが必要になってきます。
体だけでなく心の健康も大切です。体と精神の両方が穏やかであれば、それだけ人世の幸福感は高まっていきます。
そこで今回は、米国カリフォルニア州立大学・心理学部教授のケネス・S・シュルツ氏監修の『リタイアの心理学 定年の後をしあわせに生きる』(日経ナショナル ジオグラフィック社)を参考に、定年後も心身の健康を維持して幸福度を高める秘訣をお伝えしていきましょう。
■1:ジムで体を動かす
本格的に体力をつけたい、体重管理をしたい、というのであれば、やはりジムに通うのがオススメ。若者に混じって、肩身の狭い思いをするか……などと思わなくても大丈夫。今は中高年層を重要な顧客と考えているジムが多く、シニア世代に合ったプランやエクササイズも充実しています。
とくに朝や昼間の時間帯はシニア層の利用者が多く、若者の時間とすみ分けがなされています。
■2:定期的に健康診断を受ける
慢性的な持病がなくても、定期的な健康診断を必ず受けるようにしましょう。きちんとホームドクターを決めて、ちょっと気になることでも遠慮せずに相談しましょう。
また体だけではなく、心の管理も欠かせません。「疲れているだけ」、「年をとったらこんなもの」と思い込まずに、うつ病や不安神経症が疑われる兆候を感じたら、きちんと診察を受け、場合に応じて治療を受けていくことが賢明です。心身の基盤をしっかり作っておけば、何らかの不調があっても大きく揺るがされることはないのです。
■3:人と交流する
友人や家族とよく連絡をとり、外に出かけて新しい出会いも積極的に求めましょう。外部との交流が少ない人は、安定しているように見えて幸福度は下がる傾向にあるようです。
■4:体を動かす趣味を持つ
ジムで運動するだけでなく、ガーデニングやウォーキングといった、体を活発に動かす趣味を持つのも大切です。長らく都会のオフィスで働いてきたという人は、自然に触れることで気分をリフレッシュさせられます。
■5:創造的な活動をする
美術や執筆のほか、手工芸や新しい楽器など、創意や美的感覚を鍛える活動をしていることで心の健康が保てます。集中して何かを生み出すことは、自己研鑽にも役立ちます。技術が上がっていくことによる達成感を味わうこともできるでしょう。
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引退を機に、何かと心身に無理強いすることが多い仕事を離れれば、ストレスが減って、飲酒や喫煙など不健康な習慣を必要としなくなるかもしれません。
これまでの悪習慣を見直してみるのもいいですし、通勤がなくなり活動量が減るので、体力づくりを目的としてジムに通ったり、新しいスポーツに取り組んだりすれば、新たな仲間を作るのにも有意義なはずです。
【参考文献】
『リタイアの心理学 定年の後をしあわせに生きる』
(S・シュルツ監修、藤井留美 訳、日経ナショナル ジオグラフィック社)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/product/16/010500050/
文/庄司真紀