マイセンの磁器に「ドラえもん」が描かれた。作者、藤子・F・不二雄の生誕90周年を記念する作品を紹介したい。

「宮廷の小花」は19世紀半ばに誕生した伝統の紋様。可憐な小花柄とともに、カップには3種類、ソーサーには4種類の異なるドラえもんの顔が描かれている。金彩は4回の焼成を経るため手間と時間がかかる。

華やかな金色をドラえもんが纏う

白磁と金彩にドラえもんの「青」が映える。すべて手作業で調合する約1万色もの顔料から、今回の「ドラえもんブルー」が選ばれた。
マイセンの名品は米国メトロポリタン美術館など、世界の美術館で収蔵・展示されている。ドラえもんの誕生年の2112年に、この作品が展示されているかもと、想像するのも楽しい。

300年以上、伝統の職人技の制作を守り続けているマイセン

300年以上にわたり、伝統の職人技による制作を守り続けているマイセンは、西洋磁器の至宝とされる。「ドラえもん」が金彩の施された磁器に描かれ作品となる工程を、独ドレスデン近郊の国立マイセン磁器製作所に訪ねた。

マイセンの金彩技法はすでに18世紀初めに誕生していたが、つや消しの金と輝きのある金を組み合わせたこの装飾は19世紀中頃に誕生したものだ。数十にも及ぶ工程のすべてが職人による手作業で、繊細な絵付けもむろん手描きだ。絵付け職人のラウラ・ノイハンさんはこう話す。

「ドイツ語で『ドラえもん』を読み、映画も見ました。のび太がドラえもんに頼りながらも、最後は自分で問題を解決する物語からは、世の中を学ぶような深みに感動しました。『ドラえもん』を読んだ時の楽しい記憶を、この器でお茶を飲みながら思い出していただけたら嬉しいです」

マイセン旧市街に立つ「アルブレヒト城」(写真奥)。1709年、最初のマイセン磁器が錬金術師によりここで誕生した。
ラウラさんの絵付けの様子。「ドラえもんの7種類のさまざまな表情を、細かい部分まで丁寧に描いています」

カップ&ソーサー「宮廷の小花/ドラえもん」 マイセン(ドイツ)


33万円(税込み)
※ご注文のタイミングによっては、お届けまでに90日ほどお時間をいただく場合がございます。

川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムで生誕90周年記念原画展を開催中

『藤子・F・不二雄 生誕90周年記念原画展 「好き」から生まれた藤子・F・不二雄のまんが世界』では、作者の「好き」が特に色濃く描かれた原画を紹介。

アニメ、西部劇、SF映画、クラシック音楽、落語、鉄道模型、UFOや未確認生物、歴史や遺跡、そして恐竜など、作者の興味の幅の広さや強い情熱が伝わってくる。

藤子・F・不二雄さんが、どんなことが「好き」だったのか、頭の中を垣間見られるかのような本棚の展示もある。

【会期】開催中〜2024年10月下旬(予定)
※完全予約制。約4か月ごとに展示原画を入れ替え。

【場所】川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム2階「展示室II」 
住所:神奈川県川崎市多摩区長尾2-8-1
電話:0570・055・245
開館時間:10時〜18時
料金:1000円
休館日:火曜、年末年始

(C) Fujiko-Pro

※この記事は『サライ』本誌2024年1月号より転載しました。取材・文/福田 誠

『サライ』1月号。

 

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