関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。
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一人娘は海外に駆け落ち、祖母が孫を育てる
今回の依頼者は、山口芳江さん(仮名・73歳)。自分が母代わりに育てた孫娘の異性問題について、私たちに相談してくださいました。
「美加(孫)は、私の娘の子なんです。だから幸せになってほしくて……」と涙ながらに語っています。お亡くなりになったのかと思っていたら、芳江さんの一人娘は14年ほど前に、イタリア人と恋に落ちて、駆け落ちしてしまったのだそう。
「今もイタリアに住んでいるんですけれど、向こうにも子どもがいる。美加は日本で暮らしたいと言って、父親が引き取って育てていたんですけれど、別の女性と再婚して、こちらにも子どもができてしまった。行き場がなくなった美加を引き取ったのが、13年前。手塩にかけて育てています」
孫娘の美加さんは、現在21歳。祖母である芳江さんは、旧華族の血を引く名門出身。身のこなしが上品で、細かくプリーツが入った素材の紫色のワンピースがお似合いです。中肉中背で、健康的な印象。テニスや和刺繍など、さまざまな趣味をお持ちだとのことです。
「美加には幸せになってもらいたくて、乗馬や英会話、礼儀作法を習わせましたが、ことごとく途中でやめてしまったんです。私も娘も通った中・高一貫の女子校も不登校になって、公立に転校してしまったし……やはり、あの父親の血がよろしくない」
その後、美加さんのお父様の悪口を、ひとしきり話されていました。芳江さんは渋谷区の高級住宅街在住で、都内に不動産物件を何軒か持っていると言います。
まずは、調査対象者となる、孫娘の美加さんについて、伺いました。短大の卒業式だという写真を見せていただくと、目がパッチリとした美人ですが、どこかさみしそうな表情をしています。
「多感な時期に母親がいくなってしまって、本当にさみしいと思うんです。なんでもしてあげていたのですが、やっぱりおばあちゃんではダメね。甘やかしてしまって、今はあまり家に帰ってこなくて……」
【久しぶりに連絡してきた婿が衝撃的な内容を伝える。次ページに続きます】