取材・文/ふじのあやこ
厚生労働省が発表した「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)」では、2020年度の婚姻件数は 52万5490組、離婚件数は19万3251組。婚姻件数、離婚件数ともに前年よりも減少しているものの、今もどこかで夫婦が誕生して、夫婦が他人になっている。日本の非婚化がメディアなどで多く取り上げられているが、今回は離婚を経験後に再び家族を求める人たちに、その理由を伺っていく。
「私はちゃんと幸せだと、あの女にアピールするために再婚したんです」と語るのは、一花さん(仮名・38歳)。一花さんは28歳のときに学生時代のアルバイト先で出会った2歳上の男性と結婚した。付き合っているときから浮気性なところが気になっていたものの、結婚すればその悪い癖は直ると信じていたという。
地味な学生時代の中で初めて付き合った男性が夫になった
一花さんは埼玉県出身で、両親と1歳下に妹のいる4人家族。一花さんは妹のことを問題児で手のかかるタイプと言い、自身のことは地味で目立たないタイプだったと分析する。
「私は手のかからない子だったと思います。学生の頃は髪を染めたり、ピアスを開けたり、スカートを短くしたりしたかったけど、できないタイプでした。スカートは周囲から浮かない程度に短くはありましたが。自分のことなんて誰も気にしていないと今ならわかるんですが、あのときは少しでも悪いことをすると心臓がバクバクして罪悪感もあった。きっと私は気が小さいんですよね。
一方の妹はさっきあげた悪いことを後先も何も考えずにやってしまうタイプ。耳だけでなく、気づいたらおへそにも穴が開いていましたから(苦笑)」
前の夫との出会いは大学時代に始めた居酒屋のアルバイト。少し長い髪をオールバックにして束ね、少し悪そうな雰囲気に一花さんのほうから惹かれていったという。
「一見、チャラチャラしていそうなのに、美大生で少しアーティスティックなところがあって、そこも魅力的でした。同じバイト先でも夫のことを狙っている人はいて、その中でなぜか私と仲良くなりました。付き合おうという言葉はなく、誘われるがままにバイト終わりに一人暮らししていた家に行くようになって、夫の友人たちに彼女と紹介されていました。
結婚までに一度、半年ほど別れていた期間はあるんですが、再び付き合ってその1年後に結婚しました」
【結婚式の二次会には、夫の未来の妻がいた。次ページに続きます】