資産をどう築き その価値をいかに守るか
「人生100年時代」を豊かに生きるためにも、お金の不安は払拭しておきたい。その有効な手段のひとつとされるのが投資だ。目先の損得勘定にとらわれず、長期的な視点での実践を考えたい。
【第4講】投資を活用する「初級編」
「成功する確率を上げる手段は“長期・分散・積立投資”です」
つみたてNISAの投資手法は、投資信託を長期間にわたって、毎月コツコツと積み立てるというもの。この手法そのものが老後資金作りに向いているという。
「投資信託の魅力は、少ない金額から購入することができて、世界中の株式や債券など様々な資産に分散投資ができる点です。例えば、株式に10万円を投資した場合、多くとも数銘柄しか買えないでしょう。もし、そのうち1銘柄でも大きく値下がりしたら、元手の10万円は大きく減ってしまいます。安定的に資産を運用するには、より多くの銘柄に分散して投資するべきです。投資信託は、多くの人から小口の資金を集め、まとめて運用するので、より多くの銘柄の組み入れが可能となります。そして、投資信託を購入した投資家は、運用による利益を投資した金額に応じて受け取ることができるのです」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん。以下同)
個人では難しい分散投資も、大きな資金になれば可能になる。投資信託の最大のメリットだろう。
元本割れなしのデータも
次に、分散投資している投資信託の積み立ては、長期間継続するほど元本割れがしにくくなるというデータもある。金融庁の試算では、5年間継続したケースでは15%程度の割合で元本割れが発生したが、20年続けたケースでは、最終的に元本割れは発生しなかったという。したがって、なるべく長く投資することが重要になる。
「つみたてNISAは、毎月の積立額を変えられる柔軟性もひとつのメリットですが、積立額は月1万円というように、定額にすることをお勧めします。価格が高いときは買い付け数量が少なく、価格が安いときは多めになり、平均の買い付け価格を下げることができるからです。これもリスクの低減につながります。投資においては、絶対に儲かるということはありません。しかし、成功する確率を上げることはできます。その手段が“長期・分散・積立投資”です」
では、どんな投資信託に投資したらよいのか。「投資信託選びのポイントは、コスト(手数料)です。コストは運用成績に直結するからです。主なコストには販売手数料、運用管理費用、信託財産留保額の3つがあります。つみたてNISAで買える投資信託は、金融庁が定めた条件をクリアしているため、販売手数料はかからず、運用管理費用も
低いものが選ばれています。その点でも、つみたてNISAから始めることをお勧めします」
井戸さんが選ぶ具体的なつみたてNISAは、下図を参照してほしい。
※この記事は『サライ』2023年1月号より転載しました。