夫婦の“出会い方”が変わっている。かつては同僚、学校、習い事、見合いなどが多かったが、現在はネットが台頭している。国立社会保障・人口問題研究所が1940年から約5年おきに行う『出生動向基本調査』がある。2022年9月に発表された最新データを見ると、夫婦の出会いの項目に「マッチングアプリやインターネット交流サービス」が新たに加わり、13.6%(約7組に1組)が“ネットで出会って婚”していることが報道された。
アプリのメリットは、「望む条件」で相手を探せることだ。今回の依頼者・美佳さん(54歳)は会社経営の夫(64歳)と結婚半年。美佳さんは結婚相手に家と財産を、夫は若さを求めてマッチングアプリで出会った。しかし、夫には浮気の気配があるという。
「憧れの街・横浜に住み、汚部屋だった家を半年かけて片づけたのに。新しい女性と浮気されて離婚される前に証拠を取りたい」と夫の素行調査を探偵・山村氏に依頼した。
【それまでの経緯は前編で】
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女性の肩を抱こうとしていたが
夫は毎日遅いというので、夫が経営する会社から張り込みをスタートしました。
夫が経営しているのは、親から受け継いだ医療関連の会社です。自宅から車で20分程度のところに自社ビルがありました。1階がオフィスで2~3階はアパートとして人に貸していました。夫の前妻は20年前に40代前半という若さで亡くなっています。2人の娘がいますが、夫とは絶縁状態だそう。汚部屋といい、実の娘と音信不通であることといい、夫はクセがある性格のようです。
夫が出勤するという12時から会社の前で張り込みを開始。夫はアルコールを受け付けない体質なので、趣味は自動車。3台も所有しているそうです。また、どこに行くにも車だと聞いており、私たちは宅配業者を装った軽のバンから夫の行動を追います。
夫のオフィスはガラス張りなので、ブラインド越しに中がよく見えます。小さな受付と大きな神棚があり、机は4つ。すでに50代後半と思しき女性の事務員さんが出勤していました。
そこに夫が入ってきました。通勤用はイタリアの小型車は、オフィス横の駐車場に慣れた様子で停めていました。家は汚部屋だったそうですが、車はピカピカです。
依頼者・美佳さんは「夫は見た目はそうでもない」と言っていましたが、なかなか魅力的な容姿をしています。背が高く、体格もがっしりしていて、髪は黒く染めており若々しい。美佳さんとの初デートに真っ赤なスポーツカーで来たそうですが、“イケイケなバブルの気分”は多くの人を魅了します。「わかりやすさ」というのは恋愛においても大切なのです。
1日目は仕事が終わると横浜駅前の和食店で男性4人と会食して自宅に帰宅。2日目、3日目も似たようなパターンでした。夫は駐車料金が高い横浜駅前で惜しげもなく数千円の料金を払っており、お金の余裕を感じました。
変化があったのは、4日目。いつも手ぶらの夫が、手にフランスブランドのセカンドバッグを持っているのです。16時に出て来て車に乗り、東京方面へ。各駅停車しか停まらない大田区内の駅で女性をピックアップし、羽田空港に行きました。
女性は30代半ばというところでしょうか。ロングヘアで背が低く、ふっくらした体型をしています。女性の肩を遠慮がちに抱こうとするも、女性はするりと抜けようとする。羽田空港の展望台で夜景を10分程度見てから、空港内の高級レストランに入ります。
席はガラガラで、私たちは夫よりもかなり遠くの席だったのですが、集音マイクで会話を録音。
【マッチングアプリを使った“パパ活”だった……次のページに続きます】