「インターネットを使う」とは、データセンターで稼働しているサーバへ接続して、様々なプログラムで書かれたデータを読み書き(以後アクセス)することです。サーバまで何台ものルータがアクセスを多様なケーブル、経路を使い中継しています。たくさんのアクセスを処理できる速いサーバやルータは高価なので、安いサーバや経路は「通信速度が遅い」のです。
この記事では、インターネットの通信速度について解説します。
目次
「通信速度」とは?
通信速度の目安は?
通信速度測定するには?
通信速度が遅いときは?
まとめ
「通信速度」とは?
インターネットの通信速度を、自動車の運転速度に例えて説明します。高速道路で他の自動車がいなければ、快適な速度で走行出来ます。目的地に到着して、例えば、綺麗な景色を観る、美味しい食べ物を食べる、そして帰ってくる。この例でいうところの車の運転速度がインターネットの通信速度、観る・食べるがサーバ処理に相当します。
高速道路でも2車線、3車線、地方では1車線もあり、制限速度も60km/hから120km/hまで色々あります。一般道路を走ると運転速度は遅くなりますが、利用料金は安価になります。つまり、どこを通るかでコストが違うのです。同様にインターネットでも通信速度はコストに関係します。
特にたくさんのアクセスが集中する、高速道路での渋滞に相当する場合に、最高速度の速い遅いだけでなく、道路幅に相当するルータが「どれだけ渋滞に対応出来るか?」がポイントで、渋滞しないということも通信速度では大事なのです。
通信速度の目安は?
扱うデータの種類により「快適な通信速度」は変わります。扱うデータは、大きく分けると「メール」、「ブラウズ」(ネットサーフィン)、「ビデオ鑑賞」になります。
200Kbps程度でも「メール」は読み書き出来ます。1Mbps以上あれば、Yahoo!JAPANを“数秒待つ”ことなく、新聞のように読めます。ECサイトでの注文なども行える最低限のスピードです。
数Mbps以上だと、写真の多いSNS(FacebookやTwitter、インスタグラムなど)でも快適です。
動画視聴では、SD(低解像度)、2K(ハイビジョン)と4Kで必要な通信速度が違います。Netflixの4Kでは22Mbps以上を要求します。
テレワークで使うZoomやTeamsで音声が遅れるなどは「遅延」の問題です。「遅延」は通信速度だけでなく、パソコンやサーバの処理能力に影響されます。Teamsなどでビデオをオフにすると音声が途切れず会話出来るのは、パソコン処理能力の問題です。ただし、通信速度が10Gbps以上あるとパソコンの処理能力に余裕が出来て、快適にテレワーク出来る場合もあります。
通信速度を測定するには?
通信速度を計測するには、「回線速度計測アプリ」を使います。提供する側の目的を理解することが大事です。繋がらない、遅いといった問い合わせに対応するために提供されているアプリが多いです。同じアプリだと処理するサーバが一緒なので、計測するパソコンや、インターネット回線が違うと通信速度の差がわかります。アプリが違うと測定対象サーバが違うので差が出ます。Wi-Fiルータやプロバイダ回線が遅いと計測値は一緒になります。
通信速度では、ダウンロードの速さが重要です。アップロードはWebサイトなどへデータを送る場合に関係します。海外のサイトで遅い場合は回線スピードよりpingで遅延時間を確認します。通常100msec以下ならストレスなくアクセス出来ます。
遅くてストレスが溜まるのは動画視聴の時が多いでしょう。Netflixなどで4K動画を観るときは回線が遅いと観られません。こんなときは、Netflixが提供する「fast.com」を使って計測します。NetflixやAmzon Prime Videoなどは特別に専用回線を使う場合も有り、計測値は通常のネットサーフィンより速い場合も有ります。
日本のネットワーク基幹、NTTコミュニケーションズに設置されているサーバや海外のサーバまでの通信速度が計測出来ます。インターネットへの接続を調べるのに使えます。
遅延の目安に使える「PING」も表示されます。コマンドでは無いのでpingが大文字で表示されてます。
Googleが提供する回線通信速度計測アプリで、M-Labにあるサーバへ接続して計測すると案内されています。キャッシュの影響を受けるタイプで1回目と2回目で計測値が変わる場合があります。pingはレイテンシとされています。
スマホの通信速度を測定するには?
スマホでも上記3つの「回線速度計測アプリ」は、ブラウザから使えます。
ほかにも、SPEEDTESTはスマホ用アプリも出ていますよ。ドコモが提供する「ドコモスピードテスト」もAPPStoreやGooglePlayからダウンロードして使えます。地図情報と連携した測定やWi-Fiアクセスポイント検索など多機能です。各社スマホで使用出来ますが、データ通信量が多くなる場合があり、パケット料金負担があるので注意してください。
通信速度が遅いときは?
Wi-Fiが遅いときは、電波妨害とNATルータ性能を疑います。電子レンジが近くにあると、遅くなることがあります。NATルータ性能は内部CPU性能が低い場合や、Wi-Fi6でない場合に接続数制限により遅くなる場合があります。
会社などや食堂などでWi-Fiが遅い場合は接続台数が多すぎる場合が多く、Wi-Fi6機に交換すると接続スマホなどがWi-Fi6に対応していなくても改善されます。
Wi-Fiアクセスポイントまで、距離が遠くて電波が弱く遅い場合は、中継器などを設置します。
スマホの通信速度が遅いときは?
スマホの場合は、3Gや4GLTE、5Gと携帯電話回線でインターネットに接続しているか? Wi-Fiで接続しているか? を先ず確認します。Wi-Fiが遅いときは前述の通りですが、公共のWi-Fiアクセスポントの場合に、SNSへの接続が制限されて遅くなるときはWi-Fiを切ると携帯電話回線に戻ります。携帯電話回線の場合は基地局から電波を受けているかを確認。地下や地方で電波が入らない場所なら、電波の入る場所へ移動します。
たくさんの人が集まる場所でも遅くなる時があります。そうした場合は、電波が入り人の数が少ない場所へ移動しましょう。
まとめ
通信速度は、アクセスするパソコンやスマホの性能だけでなく、Wi-Fi、NATルータ、プロバイダ契約などで変わります。日頃からアプリで通信速度を測っておくと、「遅い」「繋がらない」ときに、その原因に辿り着きやすくなります。
杉田正
インターネットハンドルはsugipooh。アマチュア無線、TK-80BS、PC-8001、APPLEII、MacintoshPlusからのアップル信者。大型ストレージ、RAIDやNAS開発からWebサーバー開発、データセンターにおけるセキュリティ規格ISO27001(ISMS)を日本で最初に取得。現在はクラウド用省エネデータセンター研究開発や省エネデータセンター構築コンサルタントを行っている。
構成・編集/京都メディアライン(http://kyotomedialine.com)