
成年後見制度を利用するためには「申し立て」という手続きが必要で、初めての人にとっては分かりにくい点も多いものです。今回は、申し立ての流れ、費用、必要書類について詳しく見ていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、LIFEBOOK(R)を提唱する独立系ファイナンシャルプランナー藤原未来がわかりやすく解説します。
成年後見制度の申し立てとは?
成年後見制度を利用するための入口となるのが「申し立て」です。これは、家庭裁判所に対して「後見人を選任してください」と正式に依頼する手続きのことを指します。
制度を利用するために必要な最初のステップ
成年後見制度は、本人の判断能力が低下している場合に、その人の資産や生活を法的に支援する仕組みです。しかし、誰でも自由に後見人になれるわけではなく、必ず家庭裁判所が選任します。
そのため、制度を利用したい場合は、まず「申し立て」を行ない、裁判所に審査してもらう必要があります。申し立ては、本人の資産にまつわる権利と生活を守るための重要なプロセスであり、後見人の選任は慎重に行なわれます。申し立てを行なうことで、初めて制度利用のスタートラインに立つことができるのです。
本人の判断能力の状況、生活状況、財産の内容などを、書類として具体的に示す必要があるため、申し立ては単なる申請ではなく、裁判所が判断するための情報提供でもあるのです。
申立人になれるのは誰? 家族・本人・市町村の役割
成年後見制度の申し立ては、誰でも自由になれるわけではありません。法律で「申立人になれる人」が決められており、主に家族や本人、市町村長が該当します。
家族が申し立てる場合|親族ができること
最も多いのが、家族や親族による申し立てです。対象となるのは、配偶者、子ども、父母、兄弟姉妹、祖父母、孫など、6親等以内の血族と3親等以内の姻族です。家族が申し立てるメリットは、本人の生活状況や財産状況をよく把握しているため、必要書類の準備や事情説明がスムーズに進む点です。
また、家族が後見人候補者として選ばれるケースも多く、本人の意思を尊重したサポートがしやすくなります。

本人が申し立てる場合|どんな条件が必要か
本人自身が申し立てを行なうことも可能です。判断能力が低下していても、意思表示ができる程度であれば申し立ては認められます。ただし、本人申し立ての場合でも、医師の診断書などにより、判断能力の状態を客観的に示す必要があります。
本人申し立ての特徴は、本人の意思がより尊重される点です。「自分の財産管理を信頼できる人に任せたい」「将来の不安を減らしたい」といった希望を反映しやすくなります。
市町村長の申立てとは?|本人に親族がいない時の対応
家族がいない、または家族が申し立てを行なえない場合、市町村長が代わりに申し立てを行なう制度があります。これを「市町村長申立て」と呼びます。
市町村長申立ては、地域包括支援センターや福祉担当課が本人の状況を把握し、後見の必要性が高いと判断した場合に行なわれます。身寄りのない高齢者や障害のある人を支えるための重要な仕組みです。

申し立ての流れと手続き方法
申し立ては、家庭裁判所に書類を提出するだけでは終わりません。後見人が選ばれるまでには、いくつかのステップがあります。
申し立てから後見人選任までの基本的な流れ
一般的な流れは次の通りです。
1.必要書類の準備
2.家庭裁判所へ申し立て
3.家庭裁判所による審理(調査官との面談など)
4.医師の診断書の確認
5.後見人の選任決定
6.後見登記の手続き
申し立てから選任までの期間は、通常1〜3か月程度です。書類に不備があると時間が延びるため、事前準備をしっかりすることが重要です。
家庭裁判所での審理と医師の診断書の役割
審理では、家庭裁判所の調査官が本人や家族に面談し、後見制度が本当に必要かどうかを判断します。本人が意思表示できる場合の意思確認も行なわれ、可能な限り本人の希望が尊重されます。
医師の診断書は、判断能力の程度を示す重要な資料です。後見・保佐・補助のどの類型が適切かを判断するために欠かせません。
申し立てに必要な書類と入手方法
申し立てには多くの書類が必要です。事前にリストを確認し、漏れなく準備することが大切です。
申立書、戸籍謄本、財産目録、診断書などの一覧
主な必要書類は以下の図表の通りです。
<図表1>主な申し立てに必要な書類と入手方法

法務省・家庭裁判所からの書式ダウンロード方法
以下は成年後見制度の申し立てに使う公式書式のダウンロード先(裁判所・関連公式サイト)についてまとめた図表です。最新版の様式を入手するには、公式ページから直接ダウンロードしてください。
<図表2>書式のダウンロード方法

申し立ての費用はいくら? 支払いに不安がある時は?
費用面は多くの人が気になるポイントです。申し立てには一定の費用がかかりますが、状況によっては支援制度を利用できる場合もあります。
申し立てにかかる費用の目安と内訳
一般的な費用は次の通りです。
・収入印紙代:800円
・予納郵券(切手代):数千円
・医師の診断書料:5,000〜30,000円
・鑑定費用(必要な場合):5〜10万円程度
生活保護・支援制度・助成制度の可能性について
費用の支払いが難しい場合、次のような支援が利用できることがあります。
・生活保護受給者の場合:鑑定費用などが公費負担される場合がある
・自治体の助成制度:成年後見制度利用支援事業として、申し立て費用を補助する制度がある自治体も多い
・社会福祉協議会の相談支援:制度利用の相談や費用面のアドバイスが受けられる
まとめ
成年後見制度の申し立ては、本人の生活と財産を守るための大切な手続きです。家族や本人、市町村が申立人となり、家庭裁判所の審理を経て後見人が選任されます。必要書類の準備や費用の確認など、事前の準備がスムーズな手続きの鍵となるため、成年後見制度の利用を検討している方は、早めに情報収集し、専門機関に相談しながら進めていくと安心です。
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●構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)











