とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第57回のテーマは、「判断力・集中力の低下」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
1.集中しなきゃいけないのに! 頭がボーッとしてイライラする
直美さん 52歳女性 会社員の方からご質問を頂きました。
「このところ、ものごとに集中できず、これまでになかったような失敗やミスを連発してしまって落ち込みます。仕事中も頭がボーッとしたり、ときにはイライラして考えがまとまらなかったりと、頭の中が常に忙しくとても疲れます。
常に疲れているのでさらに集中できず、判断力も鈍っているように思い、何事にも身が入りません。これも更年期の症状のひとつなのでしょうか? 職場では、上司に『また同じミスをしている! こっちは辞めてもらっても構わない』と言われる始末です」
ご質問ありがとうございます。直美さんの抱える判断力と集中力の低下の悩み、仕事にかなり悪影響を与えているようで心配ですね。
直美さんのおっしゃる通り、更年期症状には判断力、集中力に関係する不調もあります。その原因と対策について、今回は解説していきます。
2.判断力・集中力の低下の原因は女性ホルモンのゆらぎ
判断力や集中力の低下は、更年期の女性ホルモンのゆらぎが原因です。更年期と呼ばれる50歳前後の時期は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が不安定になります。更年期症状のひとつである気分の落ち込み、うつ状態にともなって判断力や集中力の低下が起きやすいといわれています。
またエストロゲンの減少とともに脳内の神経伝達物質であるセロトニンも不足してしまいます。セロトニンは自律神経のバランスを整えているため、不足すると精神の安定が崩れやすくなり、理由もなく怒ってしまう、突然不安や悲しみに襲われるという状態に陥りやすくなります。
たとえば、今回ご質問をいただいた直美さんのように、「集中できず仕事でミスを連発してしまった」「無性にイライラする」という状態も、更年期の代表的な症状です。更年期症状を理解し、うつ状態を改善することで判断力や集中力の低下もある程度抑えられます
3.更年期の判断力・集中力低下を抑える3つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.生活習慣を見直す
女性ホルモンのエストロゲンのゆらぎを抑えるには、規則正しい生活が大事です。自律神経がしっかり整い、精神的にも安定するので、自然と更年期症状も軽くなります。たとえば、朝起きるのも、しっかりと目的意識を持つとモチベーションを保ちやすくなります。
早朝のウォーキングやジョギングをしてみる、朝刊を受けとる、少し早くゴミ出ししてみる……など、細かいことでも構いません。そして夜ふかしをせず早く寝ることも大事です。早寝早起きは習慣化することで、次第に苦なくこなせるようになります。
規則正しい生活は、つらい更年期症状に対処するセルフケアのひとつです。からだと心の両面からしっかり安定させましょう。
3-2.日常から少し離れ気分転換
気分転換は更年期症状の緩和にもおすすめです。気分の落ち込みやうつ状態は、更年期症状としても多くみられ、判断力や集中力も奪うため、ものごとをあまり深刻にとらえすぎずに、おおらかな気分で毎日を過ごすことを心がけましょう。
同じ症状を持つ友人に悩みを打ち明けてみたり、周囲に理解者を求めることも解決の糸口です。
時間を作って趣味に没頭してみるのもいいでしょう。映画や音楽を鑑賞する、植物を育ててみるなど、少し日常から離れて自分だけの世界を見つけるのも精神的には癒やしや安らぎになります。
自分に最適な気分転換の方法を見つけることが更年期症状の改善への近道です。心の余裕が生まれると、自然と毎日が豊かで過ごしやすいものに変わっていきます。
3-3.漢方で更年期の判断力・集中力低下の改善をめざす
「最近判断力が下がり生活も仕事もうまくいかない」
「集中力が続かない状態をなんとかしたい」
そのような方には、心とからだのバランスを整え、眠気や怠さ、集中力の低下に負けない強い体質をつくる漢方薬がおすすめです。
医療現場でも使われていますが、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれているのが漢方薬で、植物や鉱物などの自然由来で構成されているため、薬が苦手という方でも抵抗なく利用できます。
その場しのぎの対処療法ではなく、根本解決をめざすのが漢方薬の考え方です。体質を改善し、同じ苦痛を繰り返したくないという悩みに答えてくれます。頭がスッキリせず、判断力・集中力低下で悩んでいるという方にもおすすめです。
生活習慣の改善は面倒という方でも、症状や体質に合った漢方薬をとり入れるだけなので、簡単に継続できます。
<判断力・集中力の低下に悩む女性におすすめの漢方薬>
抑肝散(よくかんさん):体力が中等程度以下の場合に使われます。更年期症状、興奮しやすく怒りっぽい、不眠症や神経症などに適しています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):体力がある方向けです。更年期の精神不安やいらだち、頭重やめまいにも使われる漢方薬です。
体質に合っている漢方薬を選ぶことが重要です。からだに適していない場合、副作用が起きることもあるので、自分で適当に選ばずにしっかり知識のある医師や薬剤師などの専門家のアドバイスを仰ぎましょう。
「漢方薬には興味があるがお金がかかりそうで心配……」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめです。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、あなたの体質に合った漢方を選んでくれます。お手頃な価格で郵送してもらえるので、家計への負担を最小限に抑えられます。
4.判断力・集中力をアップさせて仕事も家事もバリバリこなそう!
更年期症状はセルフケアで改善をめざすことができます。頭がうまく働かず滅入ってしまうと悩んでいる方も、「どうせ老化だから」とあきらめてはいけません。
今回ご紹介した漢方薬も、更年期症状の緩和には大きな味方になってくれるでしょう。その際は、きちんと専門家の助言を聞きながら自分向けの漢方薬をみつけてくださいね。頭をスッキリさせ、更年期症状に悩まない生活を送りましょう!
<この記事を書いた人>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)