関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

***

今回の相談者は、公務員の西岡晴信さん(仮名・60歳)。大学生の娘(21歳)と教授の不倫問題に悩みに悩み、私たちのカウンセリングルームにいらっしゃいました。

娘はとても優秀で、将来がある身。対外的には紳士でも、家族に対しては粗暴な教授のために、名家復興の悲願がある父親の切なる願いがあっての依頼でした。

【調査までの経緯は~その1~で】

教授は娘に対して、鬼のようにLINEを送ってきた

調査に費用をかけたくないという依頼者・晴信さんの願いがあったので、不倫相手の教授の行動パターンをよく知る娘と対面しました。

娘さんはとても頭がよく、客観的。現状を冷静に分析し、根拠を端的に説明しつつ、「私以外の女性に会うなら、この日でしょう」と調査日と時間、大学のどの棟からどのように出てくるかなどを教えてくれました。

その打ち合わせをしている間も、娘さんのスマホが鳴りやまない。娘さんは「このLINEで頭がおかしくなりそうです」と言いながら、画面を見せてくれました。

そこには「愛している、今日会いたい、今晩何をしているんだ、お~い、会いたいよ」などの文章が。

「これだけ求められると愛されると思うし、会っているとお姫様扱いしてくれて幸せなんですけれど、この人と一緒にいることを考えると、未来は暗いと思うんです」

今回の調査における、私たち探偵の目的は、教授が別の女性と会っている証拠写真を撮ること。これにより、娘さんは教授から自分の気持ちを引き離し、教授とは別れ話をする。

そして、自分は国家の中枢で働く官僚になるために邁進する。これには父・晴信さんの願いよりも、ご自身の希望が強い。

「私は、暴力による負の連鎖と、格差を少なくする世の中を作りたいのです」と語っていました。

【教授は意気揚々と出てきたが……。次のページに続きます】

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