首都高を爆走して、場末のラブホテルに向かう
教授は大学から出てくると、表に停めてあった大きな四駆のクルマに乗ったのです。これは予想外でした。私は徒歩尾行班なので教授を追えず、別途待機していたバイク班が後を追います。
四駆は大学近くの駅から、一つ先の駅で停車。すると、小柄でぽっちゃりした若々しい女の子という雰囲気の女性が四駆に乗り込みました。
小柄なので、クルマの助手席に乗るのにも一苦労。そして、発車して首都高へ。驚くことに100キロ以上で爆走。これは明らかなスピード違反であり、かなり危険な運転です。
バイク班の探偵は、元レーサーなので、クルマの危なさやアオリ運転の愚かさをよく知っている。教授は女性が横にいると気が大きくなるのか、オラオラ感たっぷりの運転で首都高をほぼ一周。
そこから外環に抜けて、草加インターで下車。そして、近くのラブホテルに入って行ったのです。
依頼者側からの情報では、「教授はええかっこしいなので、新宿や銀座にある意識高い系の高級ホテルを使う」との話だったので、まさかこんな場末のホテルに入るとはおもいませんでした。
それから1時間待機していると、いかにも親密な様子で2人は出てきました。駐車場で人がいないことをいいことに、卑猥な会話をしており、それも録音したのです。
報告書を依頼者・晴信さんにお渡しすると、「これで娘も救われました。私も安心しました」と涙を流して喜んでおられて、この仕事をやっていてよかったと心から思いました。
それから1週間後、晴信さんから連絡があり、「娘と教授は完全に別れました!」と快哉を上げていらっしゃいました。
「証拠を持って、知人の弁護士に相談したところ、“ゲスいな。相手は立場を失うことを恐れているだろうから、学校に正式にアポイントを取って面会する方がいいかもしれない”と言ったのです」
それで晴信さんは弁護士とともに、学校の公式窓口から面会を申し込み、教授に会う。
「こっちは、娘とは別れないとゴネたり、私が殴られることも考えて行ったのですが、“大変申し訳ないことをいたしました。もう娘さんには連絡をせず、二度と会いません”と言ったのです。弁護士と証拠の力は偉大ですね。念のためにお見せをしたら、こちらが気の毒になるくらい顔面蒼白になっていました」
しかもそれだけではなく、迷惑料として200万円を支払うと言ってきたとか。
晴信さんは、「娘と別れてくれればそれでいいんです。あと、先生の奥様と息子さんに優しくしてください。家族が互いに助け合うというのは、とてもよいものです。それはあなたが相手に敬意をもって相手を思えばできることです」と言ったとか。
「私が何を言ってどうなるものでもないんですけどね。娘と妻からは感謝されました。でも娘の恋愛って男親は知りたくないものですね。もうこりごりです」
娘はその後、勉強に打ち込み、同じ年の彼氏もできたようだと伺い、ホッと胸をなでおろしました。
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/