新型コロナウイルスの感染拡大によって、働き方や生活様式が大きく変わりました。そんな中、新しい生活様式のひとつとして、“脱ハンコ文化”を進める動きも出ています。「電子印鑑(デジタルハンコ)」に切り替えたり、押印自体をなくす企業や団体なども増加しているようです。
そこで、印鑑を「使うもの」から「自分を表現するもの」へ変えることを目指し、印鑑をデザインする、Sirusiを運営する株式会社Sirusi(https://www.sirusi.jp)が、業務で押印する機会(電子印鑑を含む)のある方1,107人を対象に、「ハンコ文化と印鑑の今後」に関する調査を実施しました。コロナ禍以降、押印の機会はどれだけ減り、仕事やプライベートのどのような場面で押印が必要だと感じたのでしょうか? リアルな声をご紹介します。
■職場における、現在の“ハンコ文化”の状況は?
▷コロナ禍となった現在の職場内で、使用している印鑑のスタイルは?
・物理的な印鑑(従来のハンコ)のみ(68.7%)
・物理的な印鑑と電子印鑑(デジタルハンコ)を使い分けている(18.5%)
・物理的な印鑑と電子署名(デジタルサイン)を使い分けている(4.3%)
・電子印鑑のみ(3.0%)
・物理的な印鑑、電子印鑑、電子署名を使い分けている(2.4%)
・電子署名のみ(1.3%)
・物理的な印鑑、電子印鑑、電子署名全て利用なし(1.3%)
・電子印鑑と電子署名を使い分けている(0.5%)
職場の“脱ハンコ文化”の動きは加速していないようです。コロナ禍となった現在でも、従来のハンコはまだまだ現役のようですね。
▷コロナ禍以降、業務で押印する機会に変化はありましたか?
7割以上の方が「変わらない」(72.4%)と回答しました。従来のハンコを押印する機会も、コロナ禍だからといって、特段の変化はないという方が多いようです。
その一方で、「やや減った」(16.6%)、「非常に減った」(8.1%)と2割以上の方が「押印する機会が減った」と回答していることから、“脱ハンコ文化”を進めている企業・団体も少なからずあるようです。
▷職場の“ハンコ文化”は今後どうなる予定ですか?
・物理的な印鑑(従来のハンコ)で『ハンコ文化』を継続していく予定(36.3%)
・“脱ハンコ文化”を進めていく予定(35.7%)
・電子印鑑(デジタルハンコ)で『ハンコ文化』を継続していく予定(22.8%)
・その他(5.2%)
今後、“脱ハンコ文化”を進めていく企業・団体は多いようですが、従来の“ハンコ文化”を続けていく予定の企業・団体も決して少なくないことが分かりました。重要な社内文書などは、しっかりとハンコを押して決裁したいという考えが強いのかもしれません。
【職場の今後の方針は?】
・1年以内に電子印鑑へ移行していく予定(40代/女性/神奈川県)
・物理的な印鑑をとりあえずは優先する(40代/男性/東京都)
・職場内は物理的な印鑑、会社への提出物は電子印鑑と決まった(50代/男性/静岡県)
・今まで通り、印鑑の廃止の予定はないようです(50代/男性/高知県)
「完全ペーパーレス」とならない限り、“ハンコ文化”は残っていくのかもしれませんね。
■プライベートでの“ハンコ文化”も、まだまだ続いている!?
コロナ禍によって、宅配便の「置き配」など新しい生活様式が生まれましたが、プライベートで押印する機会はどのように変化したのでしょうか?
▷コロナ禍以降、プライベートで押印する機会に変化はありましたか?
7割以上の方が「変わらない」(74.4%)と回答しました。コロナ禍に関係なく、プライベートでも“ハンコ文化”が健在のようです。
▷どのような場面で押印することが多いですか?(複数回答可)
・郵便物・宅配物の受け取り(67.4%)
・役所への届出・申請(35.7%)
・金融機関での手続き・申請(28.0%)
・税金の手続き・申請(20.6%)
・保険の手続き・申請(19.6%)
・書類の訂正印(18.8%)
・医療・福祉の手続き・申請(9.5%)
・ローンの契約(6.3%)
・相続の手続き・申請(6.2%)
・高額商品を購入する際(3.5%)
・婚約(0.9%)
「郵便物・宅配物の受け取り」で押印する機会が圧倒的に多いようです。また、コロナ禍を受けて、ペーパーレス化を進めている公的機関などもありますが、まだまだ従来のハンコを押印する機会は多いといえそうです。
▷1か月あたりの押印頻度はどれくらいですか?
・3回未満(44.4%)
・11回以上(24.3%)
・3回~5回程度(22.0%)
・6回~10回程度(9.3%)
「3回未満」と、月に数えるほどしか押印する機会がない方が多い一方で、「11回以上」という方も意外といることが分かりました。不要不急の外出を避けるために、通販の利用頻度が高まり、それに比例して、押印の機会も増加した方が多いのかもしれませんね。
■“ハンコ文化”が必要・ある方が安心な場面とは?
職場と同様、プライベートでも、コロナ禍以前と変わらず“ハンコ文化”は健在のようです。では、今後も引き続き“ハンコ文化”を残すべきと思う場面はあるのでしょうか?
▷今後も“ハンコ文化”が必要だと思う場面を教えてください(複数回答可)
・今後は必要ないと思う(33.9%)
・金融機関での手続き・申請(27.7%)
・役所への届出・申請(25.8%)
・相続の手続き・申請(24.5%)
・郵便物・宅配物の受け取り(21.8%)
・ローンの契約(21.0%)
・保険の手続き・申請(20.0%)
・税金の手続き・申請(19.8%)
・書類の訂正印(14.5%)
・高額商品を購入する際(13.9%)
・医療・福祉の手続き・申請(13.3%)
・婚約(12.5%)
“脱ハンコ文化”を進めるべきと思っている方が多い一方で、金融機関や役所での手続き、そして相続の手続きなどは、今後も“ハンコ文化”が必要だと思っている方が多いことが見えてきました。
▷“ハンコ文化”がある方が安心できると思う場面は?
・大きな金額が動く場面では、ハンコがあった方がいいと思う(30代/女性/埼玉県)
・個人情報が含む商品の購入や保険等は、きちっと実印を押したい(30代/男性/神奈川県)
・銀行や保険などの手続き等、重要な書類ほど本人であると確認できる方がよいと思う(30代/女性/大阪府)
・婚姻届、離婚届にはあるといい(40代/男性/兵庫県)
・お金がらみの重要書類には、何重ものセキュリティの意味で必要(50代/男性/愛知県)
大きな金額が動く時や、重要な契約などの場面では、“ハンコ文化”の安心感が高いのかもしれませんね。
■こんな印鑑があったら、押したい・欲しい!
“ハンコ文化”が完全になくならないのであれば、今後も印鑑を所有する意味があるといえます。せっかく印鑑を所有するなら、押印が楽しくなるような、所有欲を満たしてくれる印鑑の方がいいですよね? では、どのような特徴を持った印鑑に魅力を感じるのでしょうか?
▷どんな印鑑があったら欲しいですか?(複数回答可)
・とにかく押しやすい(46.0%)
・とにかく頑丈(19.6%)
・上下を気にせず押印できる(19.0%)
・おしゃれなデザイン(15.9%)
・自分でデザインできる(14.3%)
・作る前にデザインの確認や修正ができる(12.7%)
・紛失しても見つけられる(GPSやBluetooth内蔵など)(11.6%)
・有名ブランドとコラボしている(7.1%)
・好きなキャラクターとコラボしている(6.8%)
・あまり見ない材質を使っている(6.2%)
・画像を入れられる(5.6%)
▷“ハンコ文化”は今後も残って欲しいですか?
・ある方が良い(27.7%)
・絶対に残って欲しい(9.0%)
4割近くの方が、“ハンコ文化”を残したいと回答しました。今後、“脱ハンコ文化”を進めるべき事項がたくさんあると思いますが、完全に終止符を打つのではなく、日本特有の“ハンコ文化”を継承すべき場面と、そうでない場面との棲み分けを進めることが、これからの日本には求められているのかもしれません。
印鑑も単に「使うもの」ではなく、人それぞれ、個性が出せる「表現するもの」へと変化していくのかもしれませんね。
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ビジネスシーンでは業務改善や電子化が進まず、スムーズに“脱ハンコ”ができていないのが現状のようです。効率を考えつつ、必要なシーンでの押印の見極めも重要ですね。この機会に、日本独自の文化である御朱印や落款印など、ハンコそのものの魅力について、再認識してみるのもよいかもしれませんね。
調査期間:2021年2月19日(金)~2021年2月21日(日)
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,107人
調査対象:業務で押印する機会(電子印鑑を含む)のある方
モニター提供元:ゼネラルリサーチ