一瞬、穴が開いているのでは、と驚いてしまう。しかし、そこはガラスのように透き通った小窓で、酒が漏れ出すことはない。
陶磁器の産地として知られる、長崎県波佐見町の丹心窯が手がけた、珍しい酒器である。詳しい製造方法は秘伝とされるが、穴に特別な土を詰めて1300℃の高温で2度焼成すると、穴の部分が水晶のように透き通って完成する。同窯ではこれを「水晶彫り」と呼び、様々な磁器に応用している。同様の技術に半透明に焼き上がる「ホタル焼」があるが、さらに透明度を上げたのが「水晶彫り」だ。
日本酒、ビール、ワインと飲み物の色を、小窓から愉しみながらの一献はまた格別だ。端正な白磁に縁起のよい青海波が描かれた器は、使うほどに愛着が増してくる。
【今日の逸品】
水晶彫りの酒器
丹心窯(日本)
4,180円~(消費税込み)