2011年春、九州新幹線が全線開通し、本州から「さくら」「みずほ」に乗り、いっきに鹿児島へ行くことが可能になりました。鹿児島市は、昨秋、日本ジオパークとして認定された桜島・錦江湾の大自然や、日本の近代化を具現した国指定史跡・集成館跡などの近代化遺産が有名です。さらには2018年の明治維新150年に向けて再び注目される薩摩の偉人たちゆかりの地でもあります。そんな鹿児島市の魅力を前・後編に分けてご紹介します。
■運が良ければイルカも見られる「生きている博物館」桜島
鹿児島市街地から見晴らす桜島は鹿児島の象徴ともいえる存在です。
桜島はフェリーで約15分という、気軽に足を伸ばすことができる距離にありますが、錦江湾を楽しむ約50分の「よりみちクルーズ」で島へ向かいます。よりみちクルーズでは、鹿児島入港の船舶の目印となっている18mの灯台が立つ神瀬(かんぜ)、薩英戦争時に砲台が設けられた沖小島(おこがじま)などを見ることができます。また、運が良ければ錦江湾に生息する野生のイルカに遭遇することもできます。カメラに収めることはできませんでしたが、私もイルカの姿を確認しました。錦江湾は水深200mという深海部がある深海湾。美しい湾内には豊かな生物が生息し、イルカの餌も豊富なのです。このような良好な環境条件のもと、全国でも最大級のカンパチの養殖もおこなわれています。
ところでジオパークとは、ジオ(地球)に親しみ、学び、楽しむ旅ができる場所のことで、日本ジオパークは現在33か所あります。錦江湾の桜島の北側部分は、約3万年前の巨大な噴火によってできた姶良カルデラに海水が流れ込んだものです。この時に流出した大量のマグマが南九州全体を埋め尽くし、シラス台地を形成。その後、カルデラの南部で起きた噴火によって生まれたのが桜島です。桜島は60年近くにわたり活発な噴火活動を続ける活火山。噴煙を上げ続ける活火山を日常としながら、人々が生活しているという点が、ほかのジオパークとは異なる大きな特徴になっています。2013年には885回の爆発がありました。そして訪ねた日も噴火が!