関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。
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今回の依頼者は、幸三さん(仮名・63歳)。60歳の妻が定年退職後の外出が激増したことで、素行調査を依頼されました。
【これまでの経緯は前編で】
早朝に外出した妻が入って行ったところはガレージ
朝、5時に妻が家を出てきたところをキャッチ。その行方を追おうとすると、妻が入って行ったのは、自宅のガレージに停まっているクルマ。
そこの後部座席に横たわり、ブランケットをかけて、スマホでサブスクの動画を見ながら寝落ちします。
8時30分に幸三さんが家から出ていくことを確認すると、しばらくそこで間を置いてから、9時に自宅に戻ります。掃除したり布団を干したりして、昼まで過ごしてから、電動自転車で出ていきました。
私たちも折り畳み自転車を出して妻の行き先を追うと、自宅から2キロ離れた先にある豪邸。航空写真で見ると、池がある家です。そこで妻は簡単な家事の手伝いをしているようです。15時に70代と思しき男性の手を取って、外出。都心まで出て、大きな公園をぶらぶらして、おしゃれなカフェで食事をして、また家に戻ります。
妻と男性は夫婦のようで、お互いが信頼しているような雰囲気がある。
その日は、妻がその家で深夜0時まで過ごし、真っ暗な家に帰宅していきました。
翌日も調査をすると、妻の行動パターンは全く同じ。後部座席に横たわり、ブランケットをかけて動画を見て、自宅に戻り、昼頃に男性宅へ行き、深夜に帰る。
3日間調査を続けましたが、それ以上のことは出てこないので、幸三さんに報告しました。
【男性は何者なのか…次ページに続きます】