イオリ工芸(愛媛県)の代表で、伊予織物染織作家の白方宣年さんが手がけるのは、阿波藍で手染めした味わい深い革小物である。
「阿波藍は徳島の藍で、その染料となる蒅の製法技術は国の選定保存技術に選ばれています。染める作業の前に必要なのが、“藍を建てる”こと。藍の葉を発酵させて蒅を作り、染色可能な状態にすることを、“建てる”といいます。イオリ工芸では化学薬品を使わずにクヌギの木灰汁と日本酒を使い、自然の力だけで発酵させています。毎日攪拌を行ない、10~14日間かけて発酵させ、肌に優しい染物に仕上げるのです」(白方さん)
こうして完成した阿波藍の染料に牛革を浸け込み、引き上げると空気中の酸素に反応して発色する。この作業を繰り返すことで、徐々に荘厳な濃い藍色に染まるのだ。
今回ご用意した革小物は、使い勝手のよい二つ折り財布と小銭入れ。二つ折り財布は、13枚ものカードポケットを備える2層構造で、札入れ2つと小銭ポケットを完備。一方、小銭入れはファスナー開閉式で取り外し可能なカードケースが付く。どちらもしっかりとした革が手になじむ。シンプルながら高級感が漂う仕上がりだ。「縫製は敢えてミシンを使わず、レース革で覆う『巻きかがり』仕立て。人の手で作られたぬくもりを感じてほしいです」(白方さん)
【今日の逸品】
牛革天然藍染めの小物
イオリ工芸
15,180円~(消費税込み)