青森の色彩豊かな風景をガラスに写し込んだ伝統工芸品「津軽びいどろ」を手がけるガラス工場「北洋硝子」。その原点は、漁業用の浮玉作りにある。昭和24年に創業した同社は、高品質なガラス製の浮玉を製造して国内トップシェアを誇っていたが、樹脂製浮玉の台頭で需要が減少。会社存続のため、浮玉製造で培った宙吹き技法を用いて色ガラスを取り入れた製品の創作に取り組み、津軽びいどろを生み出した。その技術は国内外で高く評価され、現在は青森県認定の4名の伝統工芸士を筆頭に、約50名の職人が腕を振るう。
今回紹介するのは、東北三大祭りのひとつ・青森ねぶた祭の躍動感や華やかさを表現した人気シリーズ。透明のガラスに鮮やかな色の粒がまぶされ、まるで万華鏡をのぞいているようなきらめきが楽しめる酒器セットである。
「高温で溶けたガラス素地を竿の先に巻き、9色のガラス粒をつけた後、再加熱して模様付けします。それを金型に流し込んで回し、遠心力を使って成形します。本品で“青森の夏”を感じてください」と職人の福士祐介氏。
涼しげだが手仕事のぬくもりが宿る盃。暑気払いの一献におすすめしたい。
【今日の逸品】
津軽びいどろ ねぶた酒器セット
北洋硝子
5,500円(消費税込み)