四季折々に富士山を撮影している写真家の中でも、富士山だけを追い続けている写真家となるとそう多くないでしょう。大山行男さんは、かれこれ40年、ほとんど富士山だけにレンズを向けてきた富士山専門の写真家です。
大山さんは自作した8×10(エイトバイテン)と呼ばれる大判のフィルムカメラを駆使しながら毎日、富士山を追いかけています。富士山を中心に360度歩き回り、ヘリコプターに乗って高度4000mから富士山を狙うこともあれば、富士山麓の樹海に分け入って、苔むす原生林を撮ることもあります。近年はデジタル写真も撮るようになったが、フィルムでしか表現できない色や空気感がある、と大山さんは語ります。
富士山を愛する大山さんが自作するのは、カメラだけではありません。
「富士山のすべてを撮りたい」という気持ちから、20年ほど前、富士山がもっとも美しく見える高台にドーム型の自宅を自分で建てました。今回の特集の取材でご自宅にうかがったところ、南向きの居間の大きな窓一面に富士の勇姿が広がっていました。雲ひとつない早春、“富士見の特等席”から眺めるその光景は、まさに一幅の絵画です。
『サライ』6月号の特集「”富士山を知る”からはじめる登山の楽しみ」では、大山さんをはじめ、富士山の麗姿を撮り続けている写真家5名の名作を、インタビュー記事とともに紹介しています。ぜひ、ご覧ください。